OM-1

写真家 中野 耕志 × OM-1~野鳥撮影の強い味方、OM-1~

掲載日:2022年4月20日

中野 耕志

1972年生まれ。主に野鳥や飛行機の撮影を得意とし、雑誌やカレンダー、広告などで活躍。東京農業大学にて林学を学び、卒業後は環境調査にも携わる。そうして培った自然への深い造詣を撮影活動に反映。
現在、『Birdscape~絶景の野鳥』と、『Jetscape~絶景の飛行機』を2大テーマに国内外を飛び回る。近著に写真集『PUFFIN!』(河出書房新社)、『野鳥写真の教科書』(玄光社)などがある。

デジタル一眼カメラ

OM-1

交換レンズ

M.ZUIKO DIGITAL
ED 150-400mm
F4.5 TC1.25x IS PRO

交換レンズ

M.ZUIKO DIGITAL
ED 300mm F4.0 IS PRO

機動力と画質のバランス

OM-1の魅力は、機動力と画質の絶妙なバランスにある。野鳥撮影においては焦点距離800mm~1000mmクラスの超望遠レンズが最適だが、これをフルサイズセンサーでシステム構築するとカメラもレンズも大型化が避けられない。その点OM SYSTEMではマイクロフォーサーズセンサーを採用することで、超望遠レンズを含むシステム全体でのコンパクト化に成功し、フィールドにおける圧倒的な機動力を誇る。OM-1とM.ZUIKO DIGITAL 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROの組み合わせでは、最大焦点距離1000mm相当[※] 絞り値F5.6の超弩級超望遠レンズシステムを、わずか約2.5kgという軽さに抑えられる。もちろんこれは擬似的な望遠効果ではあるものの、ひとえにM.ZUIKOレンズの解像力と常識を覆す2037万画素裏面照射積層型LiveMOSセンサーとのバランスの良さにより、多くの撮影シーンにおいて画質面の大きな不満はないといえよう。フラッグシップ機E-M1の系譜を引き継ぐOM-1は、AI被写体認識AFと高速連写性能を核とする優れた動体捕捉力はもちろん、新画像処理エンジンTruePic X(エックス)により高感度性能を向上することで正常進化を遂げている。

カワセミは全長約17cmの小鳥。OM-1とM.ZUIKO DIGITAL 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROの組み合わせなら、最大焦点距離1000mm相当[※] 絞り値F5.6の超望遠撮影を比較的コンパクトなシステムで実現可能。

OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO/1000mm相当[※]/1/45秒/F5.6/ISO 200

さらに外付けの1.4倍テレコンバーターMC‐14または2倍テレコンバーターMC‐20を組み合わせれば、それぞれ最大焦点距離1400mm相当[※]絞り値F8、焦点距離2000mm相当[※]絞り値F11の迫力の超望遠撮影ができる。

OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO + MC-20/2000mm相当[※]/1/90秒/F11/ISO 1600

進化したAI被写体認識AF

OM-1の動体撮影力を司るのは、1053点オールクロス像面位相差クアッドピクセルAFによる高速高精度なオートフォーカスだ。またOM-D E-M1Xより進化したAI被写体認識AFはこれまで以上の高い精度で野鳥を検出してくれるため、撮影者が測距点を操作する一手間を省いてくれる。しかもAFカバー率は100%と、野鳥が画面のどこにいてもオートフォーカスで撮影できるため、フレーミングの自由度が非常に高い。野鳥撮影においてAI被写体認識AFが特に威力を発揮するのは、飛んでいる鳥の目を検出してAFを合わせ続けてくれるのはもちろん、シギやチドリのようにせわしなく動き回る鳥や、木立の中にいる鳥なども体や目を高精度で検出してAFを合わせてくれるなど、OM-D E-M1Xと比べても撮影成功率が飛躍的に向上している。

海辺に佇むウミネコ。一見簡単な撮影条件に思われるかもしれないが、適切にAFターゲットを選択しないと手前の翼にピントが合ってしまいがち。AI被写体認識AFなら確実に鳥の目にフォーカスしてくれる。

OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO/1000mm相当[※]/1/2000秒/F5.6/ISO 400

素早い動きで枝移りするエナガ。従来機種では咄嗟に構図を整えてAFターゲットを合わせた瞬間に、エナガに飛ばれてシャッターチャンスを逃すことがしばしばあった。高精度に鳥を検出してくれるOM-1ならフレーミングに集中することができる。

OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO/1000mm相当[※]/1/90秒/F5.6/ISO 1600

ブラックアウトフリー表示の高速連写SHと、高解像576万ドットの有機ELファインダー

これまでミラーレス一眼カメラが一眼レフカメラより劣っていた部分は、ファインダー性能である。従来のミラーレス一眼カメラの電子ビューファインダーは解像度や輝度が低いために見辛い上、表示遅延のため動体を追従し辛いという欠点があった。OM-1は576万ドットの有機ELファインダーを搭載し、OM-D E-M1 Mark IIIの236万ドットの液晶ファインダーと比べても大幅に画素数が上がっている。このためファインダーを覗いたときの鳥たちの動きや表情を、より細かく観察できるようになった。またファインダー倍率は最大0.83倍[※]で最高フレームレートは120fps、最短表示タイムラグは0.005秒と、動体を追従しやすくなっている。さらに高速連写SH使用時はブラックアウトフリー表示なので、被写体の動きに合わせた連写中においても正確なフレーミングが可能となった。

OM-1のEVFは最短表示タイムラグ0.005秒、かつ高速連写SH使用時はブラックアウトフリー表示。横方向に飛翔する鳥の動きに合わせて連写しても、表示遅延や像の引っかかりを感じることなく正確にフレーミングできるようになった。

OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO/659mm相当[※]/1/4000秒/F5.6/ISO 1600

OM-1は576万ドットの有機ELファインダーを搭載。海辺や干潟のような明るい屋外でも見やすく、ファインダーを覗きながら鳥たちの生き生きとした表情やしぐさを観察できる。

OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO + MC-14/1400mm相当[※]/1/1500秒/F8.0/ISO 400

野生の瞬間を記録する120コマ/秒 連写のプロキャプチャーモード

OM-1の連写性能は、電子シャッターの静音連写ではAF/AE追従で約20コマ/秒と、OM-D E-M1 Mark IIIの約18コマ/秒から進化している。さらにOM-1では高速連写SH1設定時にAF/AE固定で最高約120コマ/秒、高速連写SH2設定時にAF/AE追従で約50コマ秒という超高速連写を実現している。このSH1、SH2の高速連写はプロキャプチャーモード撮影も可能で、シャッター全押しから最大70コマ遡っての撮影ができるという、OM-1が誇る機能といえよう。プロキャプチャーモードは、野鳥の飛び立ちの瞬間を撮影するときに無くてはならないほど便利な機能で、今回の撮影でもカワセミの飛び立ちを撮影するのにその能力を発揮した。飛び立ちそうなカワセミにカメラを向けてシャッター半押し状態を維持しておき、「飛んだ」と思ったらシャッターを全押しすればあらかじめ設定したコマ数を遡って撮影できるのだ。通常撮影では撮影者が飛んだと認識してからシャッターを押すまでのタイムラグがあるため、大抵はカワセミが止まり木から離れたショットが数枚撮れる程度なのだが、OM-1のプロキャプチャーモードならカワセミが前傾姿勢になって止まり木を蹴り、翼を広げて飛び立っていくまでの一部始終が克明に記録されているのである。プロキャプチャーモード自体はE-M1 Mark IIより搭載されているが、OM-1では120コマ/秒で撮影できることで鳥の翼の動きをより詳細に記録できるようになった。

※高速連写SH2の50コマ/秒設定時は使用レンズが限定されます。詳細は製品ページをご確認ください。

OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO/600mm相当[※]/1/6000秒/F4.0/ISO 3200/プロキャプチャーモード

※プロキャプチャーモードイメージ(撮影した画像のうち、66枚をつなぎ合わせてコマ送りイメージ動画としています)

カワセミの飛び立ちを120コマ/秒のプロキャプチャーモードで撮影。半押し状態を維持しておき、カワセミが飛び立ちを確認してシャッターボタンを全押しすれば最大70コマ遡っての記録可能という、飛び立ちの瞬間を撮影するときには無くてはならないほど便利な機能だ。

小魚を追って水面を走り回るコサギ。OM-1は高速連写SH2設定時にAF/AE追従で50コマ/秒の高速連写が可能。肉眼では捉えきれないほど速い一連のアクションを50コマ/秒で記録しておけば、撮影後に翼のかたちの良いものをセレクトできる。

※高速連写SH2の50コマ/秒設定時は使用レンズが限定されます。詳細は製品ページをご確認ください。

OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO/735mm相当[※]/1/6000秒/F4.5/ISO 400

新画像処理エンジンTruePic Xの高画質と、5軸シンクロ手ぶれ補正

これまでのマイクロフォーサーズ唯一の弱点とも言えるのが、センサーサイズからくる高感度性能であった。しかしOM-1では新画像処理エンジンTruePic Xと新開発の2037万画素裏面照射積層型LiveMOSセンサー採用により、センサーサイズを感じさせないほど高感度性能が向上している。これにより躊躇なく高いISO感度に設定でき、より速いシャッター速度を使えるので、これまで以上に鳥の飛翔写真を撮るチャンスが増えた。
またボディー内5軸手ぶれ補正とレンズ内手ぶれ補正の協調動作による5軸シンクロ手ぶれ補正により、最大8段の補正能力を持つ。この強力な手ぶれ補正能力により超望遠撮影時であっても快適に手持ち撮影ができるため、多くの場面で三脚を必要としない撮影スタイルで、さらなる機動力アップにつながっている。

朝日とともに飛び立つマガンの群れ。新画像処理エンジンTruePic Xと、新開発の2037万画素裏面照射積層型LiveMOSセンサー採用により、センサーサイズを感じさせない高画質が得られる。

OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO/300mm相当[※]/1/4000秒/F5.6/ISO 200

OM-1とM.ZUIKO DIGITAL 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROの組み合わせで、機材を水面スレスレまで下げ、トリ目線でオナガガモを撮影した。焦点距離1000mmクラスの超望遠撮影ながら、強力な5軸シンクロ手ぶれ補正により終始安定したフレーミングが可能だった。

OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO/1000mm相当[※]/1/2000秒/F5.6/ISO 400

本格的なミラーレス一眼カメラ時代の幕開けとして、OM-D最初のモデルであるOM-D E-M5が誕生したのが2012年3月のこと。ちょうど10年の節目にあたる2022年3月、OM-1が登場した。初代フラッグシップ機OM-D E-M1からE-M1 Mark II、E-M1X、E-M1 Mark IIIを経て正常進化を遂げたOM-1は、野鳥撮影用カメラとしてひとつの理想形に到達した。OMデジタルソリューションズという新体制のスタートにふさわしい1台と言えよう。

※ 35mm判換算 焦点距離

ギャラリー

1枚目の写真
2枚目の写真
3枚目の写真
4枚目の写真
5枚目の写真
6枚目の写真
7枚目の写真
8枚目の写真
9枚目の写真
10枚目の写真

製品紹介

OM-1

新開発のデバイスと最先端のデジタル技術を結集し、センサーサイズの常識を覆す高画質を実現。また従来機種を大きく上回るAFや連写性能など、基本性能も大幅に進化した「OM SYSTEM」カメラのフラッグシップモデルです。

M.ZUIKO DIGITAL
ED 150-400mm
F4.5 TC1.25x IS PRO

究極の超望遠性能を追求して開発したハイスペックなPROレンズです。プロの要求に応える解像性能をズーム全域で実現したうえ、最大8段分の高い補正効果を発揮する世界最強の5軸シンクロ手ぶれ補正にも対応。1.25倍のテレコンバーターを本体に内蔵し、最大1000mm相当[※]での超望遠手持ち撮影を可能にしています。

※ 35mm判換算

M.ZUIKO DIGITAL
ED 300mm F4.0 IS PRO

高い光学性能と小型軽量、防塵・防滴・耐低温-10℃性能が実現する圧倒的な機動性により、苛酷な環境でも傑出した画質を提供する超望遠PROレンズです。ボディー内5軸手ぶれ補正機構と協調させる「5軸シンクロ手ぶれ補正」を搭載し優れた機動性と相まって、今まで難しかった超望遠域での手持ち撮影が可能となります。2倍のテレコンバーターMC-20と組み合わせれば1200mm相当の超望遠レンズとして使用できます。