掲載日:2022年5月11日
身軽なほうが絶対に動きやすいわけです。私は歩きながら出合いや発見を楽しみ、写真を撮ることが好きなので、小型軽量であることにまず魅力を覚えます。OM-1は、グリップが太く深いので握りやすく、安定感が生まれて疲れにくい特長があります。ボディには緩やかな曲線を施し、尖った部分のない優しいフォルムで手触りがとても気持ちよいのです。触れると分かる質の高さに本物感があり、大切に長く使いたくなる高級カメラと言えます。撮影を続けてみると、ボタンやダイヤルの配置、操作性に不満を感じるところは見当たらず、使いやすさを追い求めているのが分かり、撮影する道具としての完成度が高いと感じました。
穏やかな冬の上高地。夕方の光に照らされた穂高連峰が大正池に映り込んでいた。撮影しているとニホンザルが現れ、目の前で食べるものを探し始めた。寒さ対策で手袋をしていても、前後ダイヤルの操作、背面のAF-ONボタンは押しやすく、素早く操作できて瞬間を逃さずに撮影できた。
576万ドットの電子ビューファインダーは大きくて見やすく、変更できるEVF表示スタイルは「スタイル3」を選び、全画面にフレーミングした映像を出すのが私の好み。そのほか、いろいろな設定が変更可能で、購入したままの状態が自身にとってベストとは限らなく、使いやすいようにカスタマイズすることをオススメします。また、設定を変える際に眺めることになるメニューの構成が一新され、分類の見直しが行われて分かりやすいです。
草花や木の肌、苔むす岩に氷の造形など、自然風景の被写体は緻密な像の集合体です。私はもちろん、多くの方は細部のディテール、質感を余すところなく伝えたいと願うもの。より高精細な写真に仕上げることができるハイレゾショット機能は、「三脚ハイレゾショット」ならば8000万画素相当。「手持ちハイレゾショット」では5000万画素相当と、十分すぎるほどの高画素・高解像な写真を手に入れることができます。三脚を使用するか、手持ち撮影を行うのか。自由に選べる点がいいですね。OM-1は画像を生成する時間が大幅に短縮され、以前に比べてテンポよく撮影を進めることができるようになりました。
まず、しっかりピントを合わせ、適切な絞り値を選択することが大切。M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO IIのワイド端で、画面中央の岩よりも少し手前にAFでピントを合わせ、絞り値をF8.0に設定すれば画面全体にピントが合っているように再現でると判断。8枚合成による「三脚ハイレゾショット」の解像感は非常に高く、苔や落ち葉のディテールをしっかりと描写。それから、ハイライト部は白飛びせず、シャドー部の階調も豊かなので、リアルな自然の風景を届けられた。
OM-1は高感度域の画質が向上していると聞いたので、画質的にどこまでが私の許容範囲か。そこを探るためにISO感度を6400に設定して「手持ちハイレゾショット」を試みた。結果、細かな枝までしっかりと描写されていて、またハイレゾショットでは複数枚合成することによる効果で、ノイズによる粗さは非常に抑えられている。ISO感度を上げる必要がないときはもちろん低感度を選択するが、高感度とハイレゾショット機能の組み合わせは、暗い森の中など、低照度の風景シーンで大いに活躍する。
従来機はND32までのライブND機能でしたが、OM-1ではシャッター速度で6段分のスロー効果が得られるND64まで選択することが可能になりました。自然風景の撮影ではこの1段の違いが大きく感じられ、とくに日中の明るい環境下で威力を発揮します。ND2~ND64の6段階まで対応するライブND機能は積極的に活用したい機能です。
眩しい太陽が照りつける海を撮影。ライブNDをND64に設定すると、2秒のスローシャッターで適正な明るさに撮影することができた。砂浜に打ち寄せる波の動きを肉眼とはまったく異なる描写で再現することができる。このシーン以外にもいくつか撮影を試みたが、濁りを感じるなど、色調に変化は見られないので非常に使いやすい印象を持った。
確実な撮影を約束してくれるのが、コンピュテーショナル フォトグラフィの一つであるライブコンポジット機能です。明るく変化した部分のみを追加合成して行く機能で、動いている飛行機や車のライトを光跡として再現できるほか、星の日周運動を1枚の写真として簡単に撮影することが叶います。撮影途中の経過をモニターで確認することができるため、撮影終了のタイミングをつかめる点が優れています。
当然ながら、自然風景の撮影は穏やかに晴れた日ばかりではありません。自然が厳しいときは心が折れそうになることもありますが、圧倒的な自然の力を知ることで、美しく尊いものは何かに気づかせてくれるのです。砂塵舞う風の強い日、高温多湿の森の中、轟音と水煙舞う滝など、カメラにとっても厳しい環境下であり、どんなときも確実に動き続け、撮影が行えることはこれまでの機種で証明されているとおり。OM-1は、防塵・防滴設計が実用性のあるIP53となりさらに進化を遂げているということで、なんとも心強いカメラです。
鳥取砂丘の風紋。夕方の斜光線によって陰影が生まれ、立体感と造形美を際立たせることができた。撮影したこの日は、風はないにしても怪しげな空が広がっていた。強風によって砂塵が飛んでいる状況でも撮影を行うことがあり防塵性能が欲しいシーン。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO IIを装着し、滝をほぼ真下から狙った。細かな飛沫が向かってくる状況で、撮影を続けているとカメラはもちろんレンズも濡れてくるが、この組み合わせであれば安心だ。M.ZUIKO PROシリーズのレンズも防塵・防滴性能が優れていて、撮影に集中することができる。最前面のレンズはフッ素コーティングが採用され、写真に映り込んでしまう水滴をブロアーで素早く吹き飛ばしながら撮影した。
間違いなくマイナスの気温だったが、まったく問題なくカメラは動作した。ちなみに、容量 2280mAhの大容量リチウムイオン電池 BLX-1は、予備の電池を1個用意すれば、私の1日の撮影ペースだと困ることはなかった。また、OM-1はPD規格に対応したモバイルバッテリーからの給電で動かすことができるので、冬場や長時間の撮影でも安心だ。
※ 35mm判換算 焦点距離
新開発のデバイスと最先端のデジタル技術を結集し、センサーサイズの常識を覆す高画質を実現。また従来機種を大きく上回るAFや連写性能など、基本性能も大幅に進化した「OM SYSTEM」カメラのフラッグシップモデルです。
ズーム全域F2.8、最新技術によって進化した高画質標準ズームレンズ。最大撮影倍率0.6倍(35mm判換算)のマクロ撮影も可能です。