掲載日:2022年3月9日
最初にOM-1を手に取って最も驚いたのは、グリップのフィット感や操作性はもちろんのこと、ファインダーを覗くと、従来よりめざましく進化を遂げたことが挙げられます。
電子ビューファインダーは576万ドットの有機ELで、ファインダーがとても鮮明かつ細部まで良く見えるようになりました。雲間から一瞬だけ顔を出してくれた朝陽に輝くブナの樹海を目で見た感動のままに、ファインダー越しでもシャッターが切れる感覚が嬉しいです。
ハイレゾショットとは撮像センサーを精密に移動させながら複数回の露光を行い、それを1枚に合成することができる機能です。三脚ハイレゾショットは8000万画素相当、手持ちハイレゾショットでは5000万画像相当の高精細な画像を生成してくれるありがたい機能です。岩や氷など動かない被写体や風がない時に使うようにしています。
小雨降る早朝の森の中では霧が立ち込めてました。風がなかったのでブナの木の幹にピントを合わせて、8000万画素三脚ハイレゾショットで撮影しました。高精細な画像が生成され、細かい枝振りや葉っぱ、さらに水滴までが繊細に描写されていました。また霧のグラデーションの滑らかな諧調によって、表現したかった早朝の森の空気感と奥行きを表現することができました。
三脚を使うことが難しい水面すれすれで撮影するシーンでは、5000万画素手持ちハイレゾショットを使うと三脚を使わないのでフレーミングの微調整が即座に行えます。また速いシャッター速度に設定したい為、ISO感度を上げて撮影しても、高解像かつノイズの少ない画像が得られるのがメリットです。また新画像処理エンジンにより撮影後の処理時間も大幅に短縮されたことも嬉しい点です。
NDフィルターをわざわざ持ち歩かなくてもカメラ内のライブND機能によって滝や川の流れをスローシャッターで表現できるとても便利な機能です。OM-D E-M1XやE-M1 Mark IIIではライブND2/4/8/16/32の5段分の減光まででしたが、OM-1よりライブND64が加わり、6段分の減光が可能になりました。
さらに1段分減光できることによって日中の明るい時間帯でもスローシャッターで切れるのでより便利になりました。また、背面液晶モニターでライブシミュレーションを確認することができるので、的確なシャッタースピードが分かり失敗がなくなりました。
比較するとND64に設定した時、滝壺の流れが放射状に描写され一番綺麗でした。
ピント位置を変えて何枚かの写真を撮影してカメラ内合成することで手前から奥までピントのあった写真を作り出す機能で、被写界深度の深い写真を撮影したいときにとても便利な機能です。
例えば、足元を俯瞰して撮影する場合でも、氷の表面が凸凹しているため、どうしても均一にピント合わせが難しい場合でも、深度合成機能を使うことによって全体にピントが合う作品に仕上げることができました。
定評のある解像力に加え、ゴースト・フレアを最小限に抑制することで逆光でも抜けの良い描写を実現してくれます。
自然風景の撮影では朝陽や夕陽を入れてドラマチックに表現することが多いのですが、最新のレンズ製造技術によりフレアが低減されよりヌケの良い描写となりました。またコーティングによる逆光耐性の改善も行われたため、太陽を入れて撮影ができるのは嬉しい点です。
ズーム全域で最短撮影距離が20cm、さらに望遠端では最大撮影倍率が0.6倍[※]なので、望遠マクロ的な撮影が可能です。
スペック面で大きな進化を遂げたOM-1ですが、ボディーデザインも細かいところまで改良されています。グリップが深く持ちやすくなり、ボタンの配置や大きさなども変更されました。またメニュー画面も色分けされて見やすくなり、操作しやすくなりました。さらにバッテリーの持ちも良くなり、過酷な環境下でも今まで以上に信頼して撮影に集中できるようになりました。スペック面とデザイン性が強化されたボディと、新レンズの開発により、今後もOM SYSTEMのブランド力を支えていくものだと期待します。機動性を生かしてどこにでも持ち歩くことができ、目で見た感動をファインダー越しにそのままシャッターが切れるという喜びを肌で感じることができるカメラだと実感しました。新しい相棒とまた次の旅に出かけ作品創りをするのが楽しみです。
※ 35mm判換算 焦点距離
新開発のデバイスと最先端のデジタル技術を結集し、センサーサイズの常識を覆す高画質を実現。また従来機種を大きく上回るAFや連写性能など、基本性能も大幅に進化した「OM SYSTEM」カメラのフラッグシップモデルです。
高画質・高倍率・小型ズームレンズであることを目指して、「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」は設計・開発されました。世界最強6.5段の「5軸シンクロ手ぶれ補正」を実現。プロ写真家の欲求に応えるプロフェッショナル高倍率ズームの誕生です。