4K記録に対応するなど動画撮影機能が大きく向上したのもOM-D E-M1 Mark IIの特長です。プロの写真家の利用を想定した機能を新たに搭載するなど、これまでにはない進化を遂げています。
細野:電気、メカ、筐体などを含めた総合的なところではありますが、E-M1 Mark IIでは、発熱を抑えることで、記録時間制限約29分の4K連続記録が可能になっています。それを実現できたのは、複合的な取り組みの中で、センサー出力の高速化が大きく寄与しています。4K 30p記録に対してもセンサー動作を高速化したことで、30フレーム/秒の記録に対してセンサーが休める時間が多くなっています。そこが発熱に対して有利なところになります。
また、従来と比べてイメージセンサー自体の発熱量を減らすこともできました。新規開発の高速なインターフェースを採用するなどしてセンサーの高速化を実現していますが、高速化することで消費電力が上がるため、センサー自体の発熱を抑える必要があったのです。センサーの開発時点からハードウェアの担当者と密にやり取りを行い、熱を抑えるように考えながら進めました。センサーをどこまで使いこなせるかを、かなり詰めた形で設計できたのがよかったところだと感じています。
イメージセンサー担当:細野 兼矢
仕様・UI担当:国重 恵二
国重:E-M1 Mark IIはプロフェッショナル向けのカメラですので、動画撮影についてもプロ向けの機能を実装することを強く意識しました。特に映画関係を意識し、本格的な映像制作用として使用していただくために、16:9比率の4K(3840×2160pix)に加えて、17:9比率のCinema 4K(4096×2160pix)にも対応するようにしました。E-M1 Mark IIのCinema 4K では、編集で扱いやすいようにフレームレートを24.00pに設定しています。さらに、できるだけ高画質を実現しようということで、ビットレートは237Mbpsまで上げています。
高済:E-M1 Mark IIは、オリンパスのミラーレス一眼カメラとして初めて4K動画記録を搭載しており、4K/Cinema 4K を特に重視して作り込んでいます。当然、フルハイビジョン記録も同様に作り込んでいますが、ムービー機能では4K/Cinema 4K への対応が目玉になるところだと思っています。
4Kに加えてCinema 4Kにも対応
動画機能担当 : 高済 真哉
高済:色ノイズ低減処理や動きに対するノイズリダクション性能の改善によって、従来機に対して高感度画質が大幅に向上しています。また、ISO感度の変化によって画質に違いが出ないように、高感度でもディテールをつぶさないようなチューニングをしています。動画撮影においては、E-M1などと比較するとフルハイビジョン記録でのノイズ特性がかなりよくなっています。特に動きに対するノイズ耐性を改善しました。その効果は高感度になるような暗いシーンでより発揮されます。ISO6400でも高感度であることを意識せずにムービーを撮ることができると思います。
国重:フルハイビジョン記録での機能になりますが、E-M1 Mark IIは、約3倍のムービーテレコンに対応しています。今回、動画撮影のプロからフィードバックをいただきまして、ムービーテレコンの改善を行いました。ムービーテレコンは切り出しによって画質が劣化しないのがポイントですが、E-M1 Mark IIでは画角を従来よりも広くして、切り出し画素数も増やすことで画質をさらに向上しています。
仕様・UI担当:国重 恵二