開発コンセプト

OM-D E-M1を超えるプロフェッショナル機として、新しいフラッグシップモデルはどのようなコンセプトで誕生したのか。商品企画担当者がOM-D E-M1 Mark IIのコンセプトや特長、開発で工夫した点などをご説明します。

商品企画担当
青木 真吾

OM-D E-M1のコンセプトを踏襲しつつ、カメラとしての高速性と信頼性を高めた

青木:オリンパスは、既存の一眼レフカメラが「大きい」「重い」「難しい」という部分で躊躇されているお客様にも高画質な写真を楽しんでいただきたいと考え、2009年にマイクロフォーサーズ規格のOLYMPUS PEN E-P1を商品化しました。そして今後のデジタルの進化を考えた場合、ミラーレス一眼の優位性が高いと考え、2013年には、プロの写真家やハイアマチュアをターゲットにしたフラッグシップモデルOM-D E-M1を発売しました。そして今回、その後継機となるOM-D E-M1 Mark IIを発表しました。E-M1は多くの方にご支持をいただけていますが、さらなる機能の向上についてのご意見もいただいております。

新しいフラッグシップモデルのE-M1 Mark IIは、そうしたご意見をもとに、プロの写真家やハイアマチュアの方にオリンパスが考える最高のミラーレスシステムを提供するという目標で開発を行いました。ベースとなるコンセプトはE-M1を踏襲しています。「高画質」「小型・軽量」「防塵・防滴性能」の3つをキーワードに、「あらゆる過酷な環境に持ち歩けて、最高の描写性能を約束する」というコンセプトです。E-M1 Mark IIでは、それら3つのキーワードにプラスして「高速性」と「信頼性」をさらに高めることで、コンセプトをより広く・高い領域で達成することを狙っています。

E-M1の性能を大きく進化させたE-M1 Mark II

キャッチコピーは「世界を変える高速連写」。AFやファインダーの性能も飛躍的に向上

青木:E-M1 Mark IIの開発でもっとも重視したのが高速性になります。高速性といってもいろんな部分が関係してきますが、スペック面で大きな進化を遂げたのが連写速度です。E-M1 Mark IIは「世界を変える高速連写」というキャッチコピーを掲げています。そしてファインダー内蔵型のデジタル一眼レフやミラーレス一眼の中で最速(2016年11月現在)となるAF/AE追従で最高18コマ/秒という連写性能を達成しています。E-M1 Mark IIは動体を撮影することを強く意識して開発したカメラです。動く被写体の撮影では、連写速度に加えて、オートフォーカス性能も重要になります。E-M1 Mark IIでは、オートフォーカスの精度や追従性を高めるために、新しいイメージセンサーと画像処理エンジンTruePic VIIIを新規に開発し、121点の像面位相差AFセンサーすべてが縦線/横線検出に対応するオールクロス測距を実現しました。

これにより、オートフォーカスの基本性能が進化し、C-AFの追従精度も大幅に向上しています。加えて、ファインダーの性能が大きくアップしているのもポイントです。ファインダーの解像度は236万ドットのまま、最高フレームレートをE-M1の60fpsから120fpsに向上させたほか、表示タイムラグも最短5msecを達成しました。また高速連写時のブラックアウト時間も短縮して、さらに見やすくしています。使っていただければ、これまでにはなかった見やすいファインダーに仕上がっていることがおわかりいただけると思います。

商品企画担当
青木 真吾

使いやすさを重視し、システム全体の高速性にも徹底的にこだわった

青木:E-M1 Mark IIでは、連写やオートフォーカス、ファインダーだけでなく、システム全体として、従来以上の高速性を実現することにこだわって開発したのも大きなポイントです。開発者全員がカメラのレスポンスを上げることを強く意識し、取り組みました。E-M1もレスポンスに優れる製品でしたが、E-M1 Mark IIではそれ以上のレベルを実現しています。

たとえば、起動や画像再生のレスポンスをよくしたほか、撮影後の処理の待ち時間も短くしています。プロの写真家やハイアマチュアの方が使いやすいと感じていただけるよう、とにかく細かいところのスピードにもこだわって作りました。ひとつひとつのシーケンスを見直すことでシステム全体での高速性を実現しています。単写で撮ってみても、これまでとの違いを感じていただけると思います。

高感度と低感度の両方でさらなる高画質を実現。デザインはコンセプトを継承しつつ使いやすさを向上

青木:E-M1 Mark IIは、イメージセンサーと画像処理エンジンの一新によって、画質も大きく進化しています。常用感度の上限はISO1600からISO6400に向上しました。低感度側も、従来はISO100相当でしたが、ISO64相当になりました。高感度と低感度の両方で画質の進化を図っています。手ぶれ補正についても、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO レンズを使ったときで5.5段(※1)、新しく登場するM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO レンズを使ったときの5軸シンクロ手ぶれ補正で6.5段(※2)という、非常に高い補正効果を達成しています。また動画性能も進化しています。動画は4K 30p・Cinema 4K 24pに対応しています。強力な手ぶれ補正機構により、手持ちでも安定した撮影が可能です。動画撮影時のAFやAEの制御もより品位の高い動画になるよう進化しています。

デザインについては、E-M1から基本的なコンセプトを受け継いでいます。E-M1を使用しているプロの写真家やハイアマチュアの方に使っていただくことをベースに考えていますので、同じような操作ができるように仕上げています。改良点としては、E-M1をお使いのお客様から「グリップを持ちやすくしてほしい」というご意見がありましたので、小指のところまでグリップの指がかりをよくしたり、サムグリップを大きく広くしたりすることで、さらに使いやすくしています。

  • ※15.5段の5軸補正:使用レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、焦点距離:40mm (35mm判換算焦点距離80mm相当)、CIPA規格準拠 2軸加振時(Yaw/Pitch)
  • ※26.5段の5軸シンクロ補正:使用レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO、焦点距離:100mm (35mm判換算焦点距離200mm相当)、半押し中手ぶれ補正:OFF、CIPA規格準拠 2軸加振時(Yaw/Pitch)

デザインはキープコンセプト。サムグリップなどを改良し、さらに使いやすくした

綿密な連携のもと細かいスペックまで考慮しながら開発を推進

青木:E-M1 Mark IIの開発においては、商品企画部門から開発部門に対して非常に高いスペックを要求しました。要求スペックを達成するには、イメージセンサーや画像処理エンジンの開発のほかにも、連写のコマ数アップのために新しいシャッター機構を用意するなど、ベースとなる部品を仕込むことが非常に重要になります。部品を仕込むうえでは、漠然としたスペックではなく、シーケンスや制御に求められる細かいスペックまで考慮して決定する必要がありました。

そのため、開発の初期段階では、ハードウェアに入れ込むスペックの見極めや、どうやったらスペックを実現できるのかをまとめるのに非常に苦労しました。また、大きなシステムになるため、シャッター制御やオートフォーカス制御など個々の開発ブロックの進捗を共有して、方向性がぶれていないことを確認しながら開発を進めました。本格的な開発がスタートしてからも、各ブロックのリーダーが進捗や課題を共有し、細かく連携しながら問題を解決することで、ハイスペックなE-M1 Mark IIを作り上げています。

プロの写真家から非常に高い評価を得た

青木:プロの写真家の方には開発段階からE-M1 Mark IIをテストしていただきましたが、C-AFの追従性やファインダーの見え方について高い評価をいただいております。「E-M1と比べて非常によくなっている」という方だけでなく、「AFの追従性が高く、EVFも見やすいので動体も十分に撮影できる」とおっしゃっていただける方もいました。そうしたご意見を踏まえると、プロの写真家からの信頼が得られるカメラに仕上がったと思っています。

開発においては、オートフォーカスの追従性や設定方法など、プロの写真家からいただいたご意見をカメラに反映させる形で進めました。E-M1でも同じようにプロに使っていただきましたが、E-M1 Mark IIでは、テストしていただくプロの写真家を増やし、開発担当者自ら撮影に同行してその場でフィードバックをもらうといった、一歩踏み込んだ形で取り組みました。

すべてを出しつくした渾身のフラッグシップ

青木:E-M1 Mark IIは、オリンパスが今できることをすべて出しつくして開発した新しいフラッグシップモデルです。性能が大きく進化したことで、E-M1をお使いのお客様にもご満足いただけるカメラに仕上がっていると考えております。さらに、「ミラーレスでは動体が撮影しにくい」「EVFでは被写体を追えない」といった理由で、これまでミラーレスを選んでいただけなかった方にも、ぜひお使いいただきたいです。進化したファインダーで素早く動く被写体を追うことができ、AF/AE追従最高18コマ/秒の高速連写で狙った瞬間を切り取ることができます。E-M1 Mark IIの実際の性能については、イベントや店頭などで、高速連写やオートフォーカス、ファインダーなどをチェックしていただければと思います。実際に触っていただければ、動体撮影に対しても十分な性能を持つことを感じていただけると自信を持っています。

また、M.ZUIKO PROシリーズのレンズは、E-M1を発売した当初はM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROの1本でしたが、その後、M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROとM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROが登場し、開放F2.8通しのレンズがそろいました。星空の撮影で使いやすいM.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROや、超望遠のM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROもあります。さらに、M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROやM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROといった新製品も登場し、M.ZUIKO PROシリーズのラインアップは大きく拡充しました。アクセサリーでは、10コマ/秒の連写に対応する大光量フラッシュFL-900Rやマクロ撮影でのライティングを強力にアシストするSTF-8などを追加しています。レンズとアクセサリーが充実したことで、プロの写真家やハイアマチュアの方にも満足していただけるカメラシステムになったと考えています。

M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROとM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROが加わり、計7本のラインアップとなったM.ZUIKO PROシリーズ

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