OM-5 Mark II × 写真家 川野 恭子 ~山の景色と光を思いのままに写す~

掲載日:2025年06月17日

掲載日:2025年06月17日

山にはOM-5 Mark II が良いと思う

川野が山に登るようになって早9年。登り始めのころは色々な山に登りたくて速さを求めていましたが、今では山と対話したいのでゆっくり山を歩いています。山野草を観察したり、岩に手をつき山を感じたり、稜線を歩いて空を感じたり、疲れたら珈琲を淹れてひと休みしたり。その折々で感じた瞬間を写真に残すことが楽しいのです。

そんな山での愛おしい時間を残すために愛用しているのが、OM SYSTEMのOM-3とOM-5 Mark IIです。デジタル一眼カメラは多数ありますが、山において絶対条件である「小型軽量」と「防塵・防滴(しかもIP53対応)」、「耐低温性能(-10℃)」のバランスに優れているのがこの2機種なのです。

では、OM-3とOM-5 Mark II を使い比べた結果、どちらを山に連れて行きたくなるか?と聞かれると、OM-5 Mark II かな…と感じています。

山の撮影に十分すぎるほどの表現力

山の荷物はできる限り軽くしたい。

それなのに一眼カメラを選ぶ理由、それは目で見たとおりに撮影できる力や、目で見た以上に美しく表現できる力、さらには山の空気までも写し出す力に期待していると思うのです。

OM-5 Mark II は、防塵・防滴性能を有する一眼カメラのなかでも最軽量クラスに入りますが、性能も軽いかと思いきやそうではありません。一眼カメラの基本性能はもちろんですが、「ハイレゾショット」や「ライブND」「ライブコンポジット」などのコンピュテーショナル フォトグラフィ機能、また「カラークリエーター」、「アートフィルター」など、目で見た以上に美しく残せる表現力があるのです。

OM-5 Mark II の表現力を、四季折々の山の作品でお見せしていきたいと思います。

春の八ヶ岳

八ヶ岳の天狗の奥庭から見た景色。この雄大で繊細な景色の中を歩いてきたのか…と嬉しくなりました。岩や木の質感を丁寧に残したいと思い、5000万画素相当で残せる「三脚ハイレゾショット」機能で撮影。画像のきめ細かさはもちろんですが、色のひとつひとつも丁寧に描写するので、奥行きのある画に感じられます。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO

40mm相当*/Aモード/1/400秒/F8.0/ISO 200/-0.7EV/WB 5800K/三脚ハイレゾショット
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: -2, Midtone: +2, Shadow: 0
アートフィルター:ポップアートII(RAW現像にて適用)

雨上がりの八ヶ岳。太陽の光が差し込んだ瞬間、森が幻想的に輝き出しました。霧と逆光により色が出にくい状況でしたが、「カラークリエーター」機能を使えば色の鮮やかさも自由自在。「こうであって欲しい」と思う色に近づけて撮影することができました。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO

40mm相当*/Aモード/1/640秒/F1.4/ISO 200/-0.3EV/WB AUTO
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: 0, Midtone: -1, Shadow: 0
カラークリエーター:COLOR 0, VIVID +2

八ヶ岳の樹林帯は苔が美しいので、好きな山域のひとつです。ED 12-45mm F4.0 PROレンズはズーム全域で最大撮影倍率0.5倍相当*のハーフマクロ撮影を楽しめるので、小さな苔も存在感たっぷりに写し出してくれました。開放絞り値はF4.0ですが、被写体に寄れるので背景のボケをしっかり楽しめます。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO

50mm相当*/Aモード/1/200秒/F4.0/ISO 200/-1.7EV/WB 5800K
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: -2, Midtone: +2, Shadow: 0

光の差し込んだ道標が印象的でした。歩く道を指し示してくれているような気がして。この美しい光と空気感を残したくて、ED 20mm F1.4 PROレンズで撮影しました。前ボケと、少しの後ろボケ。道標が景色から浮き上がる感じ。この空気感が好きなのです。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO

40mm相当*/Aモード/1/2500秒/F1.4/ISO 200/-2.0EV/WB 5800K
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: -2, Midtone: +2, Shadow: 0
カラークリエーター:COLOR 0, VIVID +1

夜明け前のスリバチ池と天狗岳。池に映り込む星がとても美しくて感動しました。
「アートフィルター」のネオノスタルジーを使うと暗部にグリーン、明部にマゼンタが加わるので、天の川の色を際立たせます。星空撮影で愛用しているアートフィルター機能のひとつです。レンズはED 12mm F2.0レンズを使用、ポケットに入る大きさながら絞り開放値が明るい(F値が小さい)ので星空撮影などのために持っておくのもよいかもしれません。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0

24mm相当*/Mモード/20秒/F2.0/ISO 3200/WB 曇天 -6STEP
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: 0, Midtone: +2, Shadow: +7
アートフィルター:ネオノスタルジー

初夏の尾瀬

下ノ大堀川から見る水芭蕉と至仏山は尾瀬おなじみの景色のひとつ。草花の質感を精細に残したくて5000万画素相当の「手持ちハイレゾショット」機能を使用して撮影しました。尾瀬は木道が多いので、三脚不要でハイレゾショットを使えるのは非常に便利なのです。ちなみに、ハイレゾショットとアートフィルターの機能を併用することはできないので、ハイレゾショットで撮影したRAWデータを、RAW現像で後からアートフィルターを加えています。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO

32mm相当*/Aモード/1/250秒/F10/ISO 200/-0.3EV/WB 5800K -1STEP/手持ちハイレゾショット
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: -2, Midtone: +2, Shadow: 0
アートフィルター:ポップアートII(RAW現像にて適用)

5月下旬の東京は初夏の陽気でも、尾瀬は春が始まったばかり。枯れ草をかきわけ葉を伸ばすワタスゲの姿は健気で愛おしくさえあります。このような見過ごしがちな景色は「アートフィルター」を使うと印象的に。川野は自然の色を活かしながらコクのある色に仕上がる「ポップアートII」が好み。さらに、エフェクトの「ピンホール効果」も加えて中心を際立たせました。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO

40mm相当*/Aモード/1/125秒/F5.6/ISO 200/-1.3EV/WB 日陰 +3STEP(R) -2STEP(G)
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: 0, Midtone: +7, Shadow: -3
アートフィルター:ポップアート II + ピンホール効果

尾瀬にはふたつの百名山があります。前出の至仏山とこちらの燧ヶ岳(ひうちがたけ)です。逆光で色が出にくい状況だったので、アートフィルターの「ジェントルセピア」を使い、あえて色の情報を無くして陰影の美しさを引き出しました。曇や雨の日も同様に、モノトーン系のアートフィルターを使うと幻想的な山の景色を楽しめます。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO

60mm相当*/Aモード/1/800秒/F8.0/ISO 200/-1.3EV/WB 5800K
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: -2, Midtone: +3, Shadow: 0
アートフィルター:ジェントルセピア

尾瀬では木道から外れることが禁止されているので、目当ての被写体に近寄れないことが多々あります。そのため、望遠ズームレンズの出番が多くなります。この作品はED 40-150mm F4.0 PROレンズで撮影しましたが、望遠ズームなのに小型軽量で携帯性の良さがお気に入り。山で使う望遠ズームはどれが良いか聞かれたら、間違いなくこのレンズを推します。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO

156mm相当*/Aモード/1/1250秒/F4.0/ISO 200/-0.3EV/WB 晴天 -1STEP(R) -1STEP(G)
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: +2, Midtone: +6, Shadow: 0
アートフィルター:ポップアート II

下田代の拠水林から見る景色が大好きで、ここを通るたびカメラを手にしてしまいます。手前の水芭蕉を入れたくて広角で撮影すると遠近感が強くなり、木道の奥に見える至仏山は小さく写ってしまいます。そこで「デジタルシフト」機能による台形補正を使用し、手前の水芭蕉はそのままに、至仏山の存在感を強めました。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO

32mm相当*/Aモード/1/400秒/F8.0/ISO 200/-1.0EV/WB 5800K
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: -2, Midtone: +2, Shadow: 0
カラークリエーター:COLOR 0, VIVID +1
*デジタルシフト機能使用

山では期待していた天候や景色に出会えないことが多々あります。花の見頃が過ぎていたとか、天気予報に反して雨が降ったとか。そんなときは「アートフィルター」で手軽にアーティスティックな表現を楽しむのも良いと思うのです。

夏の黒部五郎岳

北アルプスに聳える黒部五郎岳からの景色。氷河により削られたカール地形が美しい山です。5年ほど前にテントを担いで訪れたのがきっかけでこの山が大好きになり、近くの山小屋でひと夏働きました。このような広大な景色は「手持ちハイレゾショット」で撮影することが多いのです。いつか大きくプリントしてみたくて。カラークリエーターで彩度を上げていますが、ハイレゾショット機能との併用ができるのは嬉しいポイントです。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO

24mm相当*/Aモード/1/400秒/F8.0/ISO 200/-0.3EV/WB 5800K +1STEP/手持ちハイレゾショット
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: -2, Midtone: 0, Shadow: -4
カラークリエーター:COLOR 0, VIVID +1

黒部五郎岳の夏。カールには数々の高山植物が咲き乱れます。登山道から離れた場所に咲く花をED 75mm F1.8レンズで引き寄せて撮影しました。被写体から離れていてもしっかり花が浮き上がってくれるので、このレンズが大好きなのです。まるで、花束のような…。防塵・防滴性能ではないけれど、晴れた日はよく連れ出していました。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8

150mm相当*/Aモード/1/8000秒/F1.8/ISO 200/-0.3EV/WB 5800K +1STEP
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: -2, Midtone: +2, Shadow: 0
アートフィルター:ポップアート II

黒部五郎岳ではたびたび雷鳥を見かけます。雷鳥は天気の悪い日ほど遭遇率があがるのですが、晴れた日に雷鳥に出会うことも。ちょうどED 25mm F1.2 PRO レンズを装着していたので、背景を程よくぼかすことができました。ピント合わせが早く、雷鳥が去ってしまう前に撮影できたのも助かりました。空気感を表現したいときに欠かせないレンズのひとつです。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO

50mm相当*/Aモード/1/400秒/F1.2/ISO 200/-0.3EV/WB 6200K +3STEP
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: -2, Midtone: -4, Shadow: +3
アートフィルター:ポップアート II

山小屋勤務の休憩時間にカメラを持ち出して撮影することもしばしば。小屋周りに咲く花や、朝露に濡れる葉、朝日に輝く黒部五郎岳を撮影したり。OM-5 Mark IIとセットでも販売されているED 12-45mm F4.0 PROレンズは、広角から望遠の全域で0.5倍相当*のハーフマクロの撮影が可能なので、景色も花も水滴もこれ一本でOK。レンズ交換する余裕がないときや雨の日こそ、真価を発揮してくれるレンズです。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO

90mm相当*/Aモード/1/320秒/F4.0/ISO 200/-1.0EV/WB 5800K
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: 0, Midtone: +3, Shadow: 0
アートフィルター:ポップアート II

小屋の近くを流れる小川も大好きな場所でした。こんな明るい場所でも「ライブND」を使えば、光学フィルターを持たずともスローシャッター効果を楽しむことができます。小さな白糸が控えめで可愛らしく、秘密の箱庭のよう。新たに搭載された「CPボタン」により、ライブNDをなどのコンピュテーショナルフォトグラフィー機能を素早く呼び出せるのがとても便利でした。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO

50mm相当*/Sモード/1/2.5秒/F14/ISO 200/-0.3EV/WB 5800K/ライブND(ND16)
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: -3, Midtone: -4, Shadow: 0

私の勤めていた山小屋は北アルプスの奥地にあるので、月のない夜は漆黒の闇に包まれます。それでも「星空AF」のおかげで暗闇でも難なく星にピントを合わせられました。OM SYSTEM のカメラは、「ナイトビュー」や「手持ち撮影アシスト」など星空撮影の機能が豊富なので助かります。川野は撮影シーンごとの設定を「カスタムモード」を使い登録。星空撮影の設定は「starry sky」、いつもの設定は「usually」などと名称を付け、いつでも呼び出せるようにしていました。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0

24mm相当*/Mモード/20秒/F2.0/ISO 3200/WB 晴天 +1STEP(G)
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: 0, Midtone: -1, Shadow: 0
アートフィルター:ネオノスタルジー

OM-5 Mark II は、山小屋で過ごした思い出を色鮮やかに残してくれました。小屋で暮らす荷物とカメラ機材を背負い、上山したときは大変でしたが、小型軽量なOM SYSTEMに相当助けられたな…と思うのです。

秋の苗場山

この「雲上の楽園」を見たくて訪れた苗場山。草紅葉が進み、大地が黄金に輝いていました。この絶景はやはり「手持ちハイレゾショット」で残しておきたいと思いました。風が強く、手ぶれしないようにするので精一杯でしたが、強力な手ぶれ補正のおかげで無事撮影できました。ハイレゾショットは合成処理が入るので、風に揺れる草など動きのある被写体は被写体ぶれに注意が必要ですが、あえてぶれを残すのも風が感じられて良いと思っています。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO

54mm相当*/Aモード/1/640秒/F8.0/ISO 200/-0.7EV/WB 5800K -1STEP/手持ちハイレゾショット
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: +3, Midtone: +2, Shadow: -3
カラークリエーター:COLOR 0, VIVID +1

イワショウブだと思うのですが、雨氷を纏った姿が宝石の花のようで心から感動したのです。こんな奇跡があるから、飽きることなく山に登ってしまうのだと思います。花の存在感を高めるため、ED 25mm F1.2 PROレンズで花を浮き立たせました。線が多い背景でも、がさつくことなく、柔らかくボケるのがこのレンズの好きなところ。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO

50mm相当*/Aモード/1/2500秒/F2.8/ISO 200/WB 5800K -1STEP
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: -2, Midtone: +4, Shadow: -2
カラークリエーター:COLOR 0, VIVID +1

この日宿泊した山小屋の小屋番さんが「夕焼けがきれいだよ」と。急いでカメラを持って撮影スポットに向かうと、夕陽と雲海、樹氷と池塘、そして一番星。これでもか…と言わんばかりの最高の景色が広がっていました。目で見た印象に近づけたくて、「カラークリエーター」で彩度を、「ホワイトバランス」で暖色を加えています。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO

52mm相当*/Aモード/1/5秒/F8.0/ISO 800/-1.0EV/WB 日陰
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: 0, Midtone: +7, Shadow: +7
カラークリエーター:COLOR 0, VIVID +2

窓から見る星が美しかったので、コンピュテーショナル フォトグラフィの「ライブコンポジット」機能を使って撮影し「光跡」にしてみました。この機能は、連続して撮影した画像の明るくなった部分だけを合成するので、星の動きを軌跡として残してくれます。液晶画面で途中経過を確認することができるので、待っている時間も楽しくて。この作品は20秒×89枚=約30分撮影しました。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO

40mm相当*/Mモード/20秒/F4.0/ISO 1600/WB AUTO +7STEP(G)/ライブコンポジット(比較明合成89コマ)

インターバル撮影の中にある「タイムラプス動画」機能を使い、日の出の様子を一定間隔で撮影し、コマ送り動画に仕上げました。風にそよぐ草原が朝日によって輝きはじめると、他の登山客も歓声をあげていました。カメラひとつでコマ送り動画が作れたり、星の光跡を残せたり。パソコンで処理すると面倒なことがカメラだけで完結するというのは凄いな…と思うのです。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO

50mm相当*/Aモード/F5.6/ISO 200/-2.0EV/WB 5800K
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: -2, Midtone: +2, Shadow: +2
インターバル撮影(249コマ,約33分間/タイムラプス動画On)

苗場山では、「ライブコンポジット」や「タイムラプス」などの長時間撮影が重なったのでかなり電池を消耗しました。OM-5 Mark IIはUSB モバイルバッテリーからの給電に対応したので、長時間の撮影も問題なく撮影に集中し楽しむことができました。USB端子がType-Cになったのも、地味に嬉しい変更点だったりします。

冬の八ヶ岳

八ヶ岳の縞枯山にある縞枯山荘。銀世界にぽつんと建つ青い三角屋根がなんとも愛らしい山小屋です。粉砂糖をふりかけたかのような繊細な雪景色こそ「手持ちハイレゾショット」の出番。さらに、雪の白が飛ばないよう、露出は抑え目にしつつ、「ハイライト&シャドウコントロール」機能で明部、中間部、暗部ごとに明るさを微調整することで、繊細な雪のグラデーションを表現しました。この機能は川野にとってなくてはならないものです。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO

40mm相当*/Aモード/1/500秒/F10/ISO 200/+0.3EV/WB 5800K -2STEP/手持ちハイレゾショット
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: -3, Midtone: +4, Shadow: +4
カラークリエーター:COLOR 0, VIVID +1

雪の色に透明感というのもおかしいのですが、こんなにも透明な雪景色があるのか…と撮れたことに嬉しくなった一枚です。空や雪面の繊細なグラデーションが再現されています。ED 25mm F1.2 PROレンズのボケによる心地よい空気感も重なり、透明感が増したのかもしれません。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO

50mm相当*/Aモード/1/5000秒/F1.2/ISO 200/+1.7EV/WB 6200K -2STEP
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: -2, Midtone: 0, Shadow: +2
カラークリエーター:COLOR 0, VIVID +2

シャクナゲに積もる雪と、凛とした空気を残したくて、ED 25mm F1.2 PROレンズで撮影。寒波が入り、凍えるほど寒い日でしたが、耐低温性能のおかげで雪山でも安心して撮影することができました。

OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO

50mm相当*/Aモード/1/400秒/F1.2/ISO 200/±0.0EV/WB 5800K -1STEP
ハイライト&シャドウコントロール : Highlight: -2, Midtone: +2, Shadow: +2
カラークリエーター:COLOR 0, VIVID +1

一眼カメラの表現力はとても大事な要素です。

しかしながら、山において最も大事なのは、雨でも雪でも安心して使えることだと思います。OM-5は長く愛用していましたが、岩に軽くぶつけてしまったり転んでしまったりするなど、カメラを酷使してきました。それでも川野の使用範囲において壊れたことはありませんでした。ですから、OM-5 Mark II も同様に安心して使えるでしょう。

頑張って登った先に見られる絶景を、目で見たとおりに、確実に残せる。それが何より大事なのではないでしょうか。

山のレンズと相性が良い

最後に、OM-5 Mark II を選ぶ何よりの理由は「グリップがある」ということです。グリップがあると望遠ズームレンズなどの長めのレンズを装着したときのバランスが良く見えるのです。

ちなみに、川野が山で愛用しているレンズは主に以下の3本なのですが、

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO

M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO

M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150 F4.0 PRO

OM-3に上記のレンズを装着しても、サムレストのおかげで握りにくさは感じませんが、OM-3のデザインや美学を楽しむなら、

M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II

M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II

などの小型単焦点レンズを装着したくなるのです。

とはいえ、見た目だけでレンズを選ぶわけではありません。街のスナップ撮影では被写体に寄ることができるのでこれらの小型単焦点レンズでも良いのですが、山となると話は別。

山では登山道上からの撮影になります。離れた被写体を大きく撮影したり、背景をぼかしたければ、望遠系のレンズや開放絞り値(F値)の小さい大口径レンズを選択することになります。アウトドアフィールドで使いやすいと評判のM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 PROを使うならなおさら OM-5 Mark II のほうが良いでしょう。

つまり、山と相性の良いレンズを選ぶなら OM-5 Mark II が良いと思うのです。

OM-5 Mark II を選ぶか、OM-3 を選ぶか、はたまた OM-1 Mark II を選ぶか。その点は抜きにしても、OM SYSTEM のレンズは他メーカーと比べて小さく軽い、ということは山においては重要なポイントになります。山の荷物を確実に軽量化できるのですから。

ちなみに、レンズが小型軽量だと他にもメリットがあります。川野は、ザックのショルダーハーネスにホルダーを装着し、レンズを収納しています。落下防止対策は必要ですが、ザックを下ろすことなくレンズ交換できるので快適なのです。レンズが小さいからこそ可能な携帯方法ですよね。

まとめ

OM SYSTEM OM-5 Mark II の主な進化点として、

  • メニュー構成がOM-1 シリーズ・OM-3同様に変更
  • CPボタン追加により、コンピュテーショナルフォトグラフィー呼び出しが手軽に
  • カスタムモードの登録名称設定が可能に
  • USB Type-C採用
  • 従来の「シルバー」と「ブラック」に加え、アウトドアシーンにマッチした新ボディーカラー「サンドベージュ」が登場

など、着実に進化していると感じています。

さらに、動画専用にピクチャーモード「OM-Cinema1」と「OM-Cinema2」が追加。シネマティックな映像を手軽に楽しめるので、SNSに投稿したら面白そうです。

【OM-Cinema1】
中間輝度は自然な色合い。ハイライト部はイエロー調、シャドウ部は青調の色味が加わり、暖かみがありつつ落ち着いた印象。陰影があるので山や森などにおすすめ。

【OM-Cinema2】
中間輝度は自然な色合い。ハイライト部とシャドウ部にシアン調の色味が加わるのが特徴。コントラスト弱めの柔らかい印象に仕上がるので、海や空、人物などにおすすめ。

最後に、山に求められる性能として、

  • 山の過酷な環境にも耐えるIP53対応の防塵・防滴、-10℃耐低温性能
  • 防塵・防滴性能を有する一眼カメラで最軽量クラス
  • 強力な5軸手ぶれ補正が搭載
    ボディー内最大で中央6.5段、周辺5.5段※1、対応レンズとのシンクロ最大で7.5段、周辺6.5段※2
    ※1 使用レンズ : M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO
    焦点距離f=45mm(35mm判換算f= 90mm)、CIPA2024規格準拠、Yaw/Pitch/Roll 補正性能
    ※2 使用レンズ : M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
    焦点距離f=100mm(35mm判換算f=200mm)、半押し中手ぶれ補正 :Off、CIPA2024規格準拠、Yaw/Pitch/Roll 補正性能
  • 作品制作に役立つ、コンピュテーショナル フォトグラフィ機能
    ハイレゾショット(手持ち/三脚)/ライブND撮影(ND2,4,8,16)/深度合成撮影/HDR撮影/多重露出撮影/ライブコンポジット
  • カラークリエーター
  • 16種アートフィルター
  • ハイライト&シャドウコントロール
  • デジタルシフト撮影

など、十分すぎるほどの性能があることを、川野の作品でお伝えしました。

山の景色や思い出をこれまで以上に美しく残したい。これまで以上に荷物を軽くして山の撮影を楽しみたい。そんな方に強くおすすめしたいカメラです。

*35mm 判換算値

記事内で使用した機材

川野 恭子

「日常と山」を並行して捉え、自身に潜む遺伝的記憶の可視化を試みた作品制作を行う。ここ数年は山小屋勤務を経験しながら、山の歴史・文化に造詣を深めることに努めている。メディアへの写真提供、撮影、執筆、講師、テレビ出演(NHKにっぽん百名山ほか)など、多岐に渡り活動。京都芸術大学通信教育部美術科写真コース非常勤講師。著書に、写真集『山を探す』(リブロアルテ)、織田紗織氏との共著『山の辞典』(雷鳥社)ほか多数。