OM SYSTEM OM-1 Mark II × 写真家 安彦 嘉浩 ~3本のPROレンズで見つけた、北海道の春~

掲載日:2026年06月05日

掲載日:2026年06月05日

はじめに

こんにちは。北海道のほぼ中央、上富良野町の安彦です。広大な田畑、丘陵、そしてその向こうにそびえる十勝岳連峰。そんな北海道の素晴らしい景色の中で毎日、自然風景や野生動物を撮り続けています。
今年の春は、より特別な春と出会うことができました。なぜならOM-1 Mark IIと一緒に、北海道の最もドラマチックな季節を迎えることができたからです。ぜひ最後までご覧ください。

3本のレンズで切り取る、北海道の春

今回はOM-1 Mark IIと3本のPROレンズで、移り変わりゆく北海道の春を丁寧に追いかけました。
広角から望遠まで一本で対応できる M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO を筆頭に、より広い画角が欲しい場面では M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROを、小さな被写体を大きく写す用途としてM.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROを使用しました。

M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO

4月中旬、上富良野町の平地の雪はすでに溶け終わろうとしていましたが、まだ冬の雪を抱えている安政火口へと足を運びました。

最寄りの登山口からスノーシューで30分から1時間ほど歩けば、まだ深い雪景色が見られます。比較的手軽に味わえる冬の山岳風景のなかでも特に絵になる場所ですが、ゆるい斜面とはいえ1時間程度雪を踏み込むと、じわじわと脚に疲れが溜まります。
OM-1 mark II(599g)と超広角レンズM.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO(411g)はあわせても約1kg程度。これは軽さの面だけでなく、防塵・防滴性能や-10℃までの耐低温性能も備えている事もあり、本当に頼もしい組み合わせでした。雪山で電源が入らなくなる心配や、持ち歩きの重量で体力を削られる心配が減り、目の前の被写体に集中してシャッターを切る事ができました。

広角レンズでスケールの大きい風景写真を撮る際は、いつも初心に帰ったような気持ちで心がワクワクします。

前日の暴風で風紋が刻まれた、雪面と奥に聳える八ツ手岩

OM-1 Mark II + ED 8-25mm F4.0 PRO

16mm相当*, Mモード, 1/400秒, F20, ISO 200

こちらは5月中旬、近所の公園に広がる瑞々しい新緑の木々たちです。
北海道では冬の数ヶ月はしばらく色のないモノトーンの世界が続きます。冬から春へと切り替わるこの短い季節の中で、これほど圧倒的なスピードで、世界が鮮やかに塗り替えられていくのかと思うと、改めて生命の息吹を実感します。
こうした真下から見上げるダイナミックな構図で威力を発揮するのが、OM-1 Mark IIのバリアングルモニター。深くしゃがみ込んだ姿勢からでも、モニターの角度をさっと調整するだけで、無理な体勢をとることなく理想のアングルで撮影することができました。ED 8-25mm F4.0 PROは広角端(35mm判換算で16mm相当)で撮影しても、周辺までしっかりと解像するとても使いやすい超広角レンズです。風景写真好きの方には「はじめの1本」として、ぜひ所有して頂きたいレンズの1つです。

新緑の木々たちを見上げる

OM-1 Mark II + ED 8-25mm F4.0 PRO

16mm相当*, Mモード, 1/80秒, F13, ISO 800

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

5月中旬、北海道上富良野の大地は日に日にその緑を濃くしていく季節になりました。この時期特有の朝晩の大きな気温差で、足元の草にはたくさんの朝露が降りていました。そのひんやりとした空気感を伝えたいと思い、朝露を大きく前ボケに利用してみました。M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROのレンズのメリットはなんといっても広い焦点距離に加えて、レンズ側にも手ぶれ補正機構が搭載されている所です。
カメラを持つ手が悴むこともありましたが、強力な5軸シンクロ手ぶれ補正のおかげで手ぶれをせずにこの景色を写し止めることができました。

時刻は朝5時30分。朝露の奥からはトラクターのエンジン音が聞こえてきます。どこか心地いい。そんな北国の春の朝です。

日に日に緑が濃くなる、上富良野の春の朝

OM-1 Mark II + ED 12-100mm F4.0 IS PRO

122mm相当*, Mモード, 1/200秒, F11, ISO 100

OM SYSTEMのレンズはどれも接写性能が素晴らしく、このM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROも撮像素子面から広角端側で約15cm、望遠端側で45cmとぐっと被写体に近寄る事ができます。目の前に広がる絶景を撮影した後にふと足元に目を向けると、全く別の世界が広がっていることがあります。それをレンズ交換することなく撮影ができるため、撮影の楽しみが何倍にも増すといっても過言ではありません。

まだ冷え込みの残る4月下旬の朝でした。足元に咲いていたつくしは、きらめく朝霜のドレスを纏っていました。朝日に照らされた朝露が背景で玉ボケとなり、まるで春の小さな生命の誕生を祝福しているかのように感じました。

朝霜のドレスを纏って

OM-1 Mark II + ED 12-100mm F4.0 IS PRO

172mm相当*, Mモード, 1/320秒, F4.5, ISO 200

沈みゆく夕日を背に、作業を続けるトラクター。35mm判換算で200mm相当の画角と、被写体に寄れる起動力を活かして、最も心が惹かれる部分にフォーカスしました。巻き上がる土埃が、西日を浴びて黄金色のミストのように輝く瞬間は、息をするのを忘れるほどの美しさでした。

夕陽を浴びるトラクター

OM-1 Mark II + ED 12-100mm F4.0 IS PRO

200mm相当*, Mモード, 1/320秒, F4.0, ISO 200

早朝5時、まだ薄暗い時間のダム湖です。対岸の白樺と桜が湖面に映り込むように撮影しました。

水面に反射する桜と新緑

OM-1 Mark II + ED 12-100mm F4.0 IS PRO

122mm相当*, Mモード, 1/2.5秒, F16, ISO 100

その春、もっとも心踊った瞬間を挙げるなら、間違いなくこの日でした。
5月上旬、芽吹いたばかりの瑞々しい新緑、そして見頃を迎えている桜。その景色が、白一色の雪で覆われたのです。これまでに見たことのない美しさに、ただただ感動しました。

このような予期せぬドラマに出会ったときこそ、「12-100mm(35mm判換算24-200mm相当)」というレンズの真価が発揮されます。広大な景色全体を捉える広角域から、遠景を圧縮して見せる望遠域まで、レンズ交換なしでシームレスに対応できる。この機動力があったからこそ、この一期一会の景色を迷うことなく、そして容易に切り取ることができました。広い焦点距離、接写性能、解像力などM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 PROが万能レンズと呼ばれる所以を垣間見ることができました。

白い世界に覆われる上富良野の春景色

OM-1 Mark II + ED 12-100mm F4.0 IS PRO

200mm相当*, Mモード, 1/60秒, F6.3, ISO 160

M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO

M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROは、35mm判換算で撮影倍率4倍という超高倍率の撮影を可能としたマクロレンズでありながら、無限遠からマクロ撮影までAFが可能、さらに手ぶれ補正も内蔵された、まさにPROグレードと呼ぶにふさわしいマクロレンズです。

この写真はその圧倒的な接写性能と描写力を活かして季節の交差を切り取った一枚です。注目したのは、秋に落ちて冬を越し、このあと朽ちていく枯葉と、散ったばかりの花びらが持つ繊細な美しさです。この二つの異なる質感と時間の経過を描写しています。被写体に極限まで迫ることで背景の雑音を削ぎ落とし、二つの要素の対比だけに集中させたいと思いました。このレンズだからこそ気づき、形にすることができました。

秋に落ちた枯葉、春に散った花びら

OM-1 Mark II + ED 90mm F3.5 Macro IS PRO

180mm相当*, Mモード, 1/100秒, F10, ISO 640

次に見て頂きたいのは2枚のつくしの写真です。
1枚目は5月の雪と先端だけが顔を出すつくしという、季節の交差を切り取りました。僕がつくしだったらこんな話聞いてないと悲鳴をあげることでしょう。そんな悲鳴が聞こえてきそうなつくしを僕は一生懸命に撮影しました。こんな前代未聞な光景は、次にいつ見られるかわからないからです。

2枚目は5月の別の日に撮影したつくしです。こちらはレンズの開放F値であるF3.5による浅い被写界深度で撮影をしました。主役であるつくしをシャープに際立たせつつ、手前と背景の芝桜を大きなボケとして表現しています。望遠マクロレンズだからこそ実現できる、どこか夢のような世界に立ち入った感覚です。

季節外れの大雪に覆われたつくし

OM-1 Mark II + ED 90mm F3.5 Macro IS PRO

180mm相当*, Mモード, 1/1000秒, F5.6, ISO 100

ピンクの絨毯とつくし

OM-1 Mark II + ED 90mm F3.5 Macro IS PRO

180mm相当*, Mモード, 1/200秒, F3.5, ISO 80

実はこのレンズ、ただ単に被写体を大きく撮影するだけでありません。35mm判換算180mm相当の望遠レンズとしても抜群のパフォーマンスを発揮してくれます。
1枚目は開放のF値であるF3.5で撮影した作品です。手前に草花などの「前ボケ」を入れて撮影してみると、それだけでファインダーから見える景色が面白くなり、撮影のイメージが膨らみました。2枚目はF値をF16まで絞った作品ですが、どこまでも広がるたまねぎ畑の一株一株が立体的に描写されています。
M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROは接写撮影だけでなく風景写真でも活躍する、撮るたびに新しい表現の面白さに出会える頼もしいレンズです。

水が張られた水田と芦別岳のリフレクション

OM-1 Mark II + ED 90mm F3.5 Macro IS PRO

180mm相当*, Mモード, 1/2000秒, F3.5, ISO 125

どこまでも広がるたまねぎ畑

OM-1 Mark II + ED 90mm F3.5 Macro IS PRO

180mm相当*, Mモード, 1/30秒, F16, ISO 400

撮影現場で完結させるワークフロー

OM-1 Mark IIの魅力的なメリットのひとつとして、コンピュテーショナル フォトグラフィによる撮影前後のワークフローの単純化が挙げられます。長時間露光をしたい、画面内の輝度差を調整したい、全体にピントを合わせたい、細部を残したいなど、被写体の撮影表現方法は多岐にわたりますが、三脚やフィルターワークの活用、撮影後の現像作業等で対応する方法はあるものの、機材の用意や実際の撮影現場での準備や手間がかかってしまうこともあります。

コンピュテーショナル フォトグラフィ機能を用いての撮影なら全て撮影現場で完結できるため、より撮影や作品づくりに集中する事ができます。今回は、コンピュテーショナルフォトグラフィから、いくつかの機能を作品とあわせてご紹介します。

コンピュテーショナル フォトグラフィ|ライブGND機能

午前4時頃、この日は日の出前から撮影を始めました。この時、空はようやく明るくなり始めましたが、手前に映る景色はまだ影に沈んでいました。このような撮影シーンでは、地上に露出を合わせると空がオーバーになるか、空に露出を合わせると地上がアンダーになるかのどちらかになる事が多いです。こういった撮影シーンに使っていきたいのがライブGND(グラデーションND)機能です。

OM-1 Mark IIのファインダーを覗きながらライブGND撮影を開始。
境界線の位置や角度などをファインダーやモニターの画面上で細かく調整することができるので、空と山の境界線上にGNDのラインを設定して、減光させたい明るい部分の露出を調整することができます。ハーフNDフィルターと同じ効果を、カメラ内で行えるシンプルなワークフローは本当に助かります。カメラ内の機能なので、レンズを選ばない点も嬉しいですね。

1分1秒と表情が変わる朝の情景、その1秒も無駄にしたくないのです。

通常撮影

OM-1 Mark II + ED 12-100mm F4.0 IS PRO

172mm相当*, Mモード, 1.3秒, F13, ISO 80
通常撮影

ライブGND撮影

OM-1 Mark II + ED 12-100mm F4.0 IS PRO

172mm相当*, Mモード, 1.3秒, F13, ISO 80
ライブGND(ND08/Soft)

コンピュテーショナル フォトグラフィ|深度合成機能

レンズの撮影倍率は倍率が上がれば上がるほど、ピントの合う範囲(被写界深度)が狭くなります。M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROの解放F値はF3.5ですが、実際に開放で撮影してみるとその被写界深度はとても狭く、花の撮影では撮影距離によっては花弁の一部にしかピントが合っていない写真になってしまうことも多いです。この時、F値を大きく変更しても全てにピントが合わない事も多いため、撮影が困難な場面もあります。

そこで深度合成機能の出番です。ピント位置をわずかにずらしながら前後に連続撮影をして、その場でカメラ内に1枚の画像として保存することができます。これにより、花であれば中心から外側の花弁の縁まで、解像感はそのままに、被写体全体にピントの合う一枚に仕上げることができます。設定画面でピントをずらす量も細かく調整できるため、手持ち撮影でその場で調整、試行錯誤できるのもこの機能のよい点です。深度合成機能を使用できるレンズに制限はありますが、花から生きものまで、気が付くとこの機能に魅了されてしました。

たんぽぽを上から覗き込む

OM-1 Mark II + ED 90mm F3.5 IS PRO

180mm相当*, Mモード, 1/20秒, F11, ISO 200
深度合成

雨上がりの水模様

OM-1 Mark II + ED 90mm F3.5 IS PRO

180mm相当*, Mモード, 1/50秒, F9.0, ISO 640
深度合成

田んぼの淵でじっと休んでいたカエル

OM-1 Mark II + ED 90mm F3.5 IS PRO

180mm相当*, Mモード, 1/500秒, F11, ISO 400
深度合成

おわりに

OM-1 mark IIと過ごした北海道の春は、あっという間に過ぎ去ってしまいました。
3本の異なるPROレンズを使用することで、より被写体の魅力にフォーカスした、いつもとは違った北海道の春に出会うことができました。またコンピュテーショナル フォトグラフィ機能は、ワークフローを全て撮影現場で完結させるだけでなく、被写体とその場で向き合い、新しい写真表現を探究する時間が増えたとも感じております。
この撮影体験の楽しさを、OM-1 mark IIを手に取って感じて頂ければとても嬉しいです。

*35mm 判換算値

記事内で使用した機材

安彦 嘉浩

1989年、山形県生まれ。北海道上富良野町在住。
電機メーカーで生産技術エンジニア、上富良野町役場で観光部門担当としての勤務を経て、2026年よりフリーランスとして独立。雄大な十勝岳連峰の麓を拠点に、この土地が育む景観や野生動物と向き合っている。東京カメラ部10選2019。