猫と小物を撮る - 好きなものは、すぐそばに - はじめてのレンズ選び 【第2回】
掲載日:2026年09月09日
掲載日:2026年09月09日
こんにちは、フォトグラファーの鎌田風花です。
前回は花をテーマに、光やF値の使い方をお伝えしました。今回はさらに身近なところに目を向けてみます。窓際でまどろむ猫、棚やテーブルに並べたお気に入りの雑貨、いつものコーヒーカップ。外に出るのも良いですが、日常の中にも撮りたいものは溢れています。
今回は猫と小物という、動くものと動かないもの2つの被写体を通じて、日常の中にある撮影の楽しさをお伝えします。好きなものを撮ることが、写真をもっと楽しくしてくれます。
目次
日常の中の被写体
皆さんも、家の中やデスク周りにお気に入りの小物はないでしょうか。カメラを手にして、改めて部屋の中を見渡してみてください。思い入れのある置物、窓際の植物、棚に並んだ本など。いつも見慣れているはずのものが、カメラを通すと違って見えてくることがあります。
特別な場所に行かなくても、被写体は日常のいたるところにあるものです。大切なのは「これを撮りたい」と思う気持ちです。好きなもの、思わず目が止まったものに、まずはレンズを向けてみてください。
猫を撮る。一瞬を捉える楽しさ
私自身も、家族である愛猫を毎日のように撮り続けています。コロコロ変わる表情や仕草が可愛くて、1枚でも多く写真で残しておきたい、と願うからです。窓の外をじっと見つめる横顔、日向ぼっこで心地良さそうにしている時、突然遊びに夢中になる瞬間。猫のいる暮らしは、常にシャッターチャンスで溢れています。
猫や犬を撮るときに、まず大切にしてほしいのが、動物たちに負担やストレスをかけないことです。嫌がることや無理に近づいたり、フラッシュを使ったりすることは避けています。自然体で、リラックスしているときの表情や仕草に、一番その子らしさが出るのではないでしょうか。
また、動物を撮るときに意識しているポイントは目線の高さです。表情が伝わりやすいのは、同じ目線まで下がって撮ることです。一方、上から見下ろすように撮ると、猫のフォルムが強調されたり、愛らしさが伝わるような写真になります。
表情の見えない切り取り方もおすすめです。例えば、足元や後ろ姿など。表情が写っていないからこそ、見る人が想像をして、写真に余韻が生まれることも。
ブラインドと観葉植物の影がアクセントになると思ったので、正面ではなく後ろから撮影をしました。
動き回る猫や犬のピント合わせに苦労したことはないでしょうか。そんなときに頼りになるのが、PENにも搭載されている「AI被写体認識AF」機能です。被写体を自動で認識し、ピントを合わせてくれます。シャッターチャンスを逃しにくくなるので、猫撮影との相性は抜群です。撮影画面から、被写体検出を「犬・猫」に設定して撮影をしてください。
動いているシーンの場合、シャッタースピードは1/500秒以上、走っているようなシーンは1/1000秒以上だとブレにくくなり安心です。また、PENはコンパクトで軽量なため、片手での撮影が簡単にできます。猫じゃらしで遊びながら、オートフォーカスはカメラに任せて連写撮影をすることで、動きのある1枚を撮ることができます。
小物を撮る。好きなものを並べる楽しさ
日常の中で撮りやすい被写体が、小物や雑貨です。お気に入りのコーヒーカップ、読みかけの本、窓際の植物など、自分の好きなものを並べて撮るだけで、その人らしい写真になります。
小物撮影の楽しさのひとつが、「スタイリング」です。被写体をどう配置するか、背景に何を置くか、小物同士の組み合わせなど、撮る前の準備からすでに撮影が始まっています。ここでは小物を3つ置いたスタイリングを紹介します。
どう配置するか迷ったときは、このように3つの小物を三角形のように置いてみてください。バランスが取りやすく、写真がまとまって見えます。スタイリングのコツは、引き算を意識することです。あれもこれもと詰め込みすぎたり、全てを写してしまったりすると、何を伝えたい写真なのかが伝わりにくくなります。ここでは、本をあえて見切れさせることでアクセントのひとつにしました。
縦位置で撮影をする場合は、高さを意識してみてください。この写真では、額縁やカメラの位置を調整して右から左へ高さが上がるように配置しています。視線が自然と流れ、右上に余白があることですっきりとした印象になります。
単焦点レンズを使ってみる
キットレンズで小物や猫を撮っていると、「もう少しボケ感を大きくしたい」「室内でも明るく撮りたい」と思うようになります。そんなときに試してほしいのが、単焦点レンズです。
単焦点レンズはズームができず、被写体との距離を自分が動くことによって調整する必要がありますが、その分、F値が小さく明るいレンズが多いのが特徴です。室内の自然光だけでも明るく撮れて、背景をふんわりとボカすことができます。主役をしっかりと引き立てたいときに、その力を発揮してくれます。
キットレンズM.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III と、単焦点レンズM.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 IIで、同じシーンを撮影したものがこちらです。
それぞれを比べてみるとボケの質感や被写体の立体感に差があり、主役がすっと浮かび上がるような印象になります。また、単焦点レンズはF1.8と明るく撮れるので、手持ち撮影でも無理のないシャッタースピードになることがわかります。
レンズの手前に物を置くことで、前ボケをつくることができます。ここでは白い花を前ボケに使いました。前ボケは、写真にふんわりとした雰囲気をプラスするだけでなく、奥行き感も表現することができる技法です。単焦点レンズは、よくボケた美しい前ボケを作りやすいです。また、被写体に近づくことで質感も表現しやすくなります。キットレンズとは異なるボケ感や立体感を、ぜひ体験してみてくださいね。
明るいレンズが、日常の印象を変える
F値が小さい、つまり「明るいレンズ」であることで、室内の自然光だけで撮影できる場面が一気に広がります。
例えば曇りの日の窓際や、薄暗い部屋の中でも、明るいレンズがあれば自然な光の中で撮ることができます。フラッシュを使わなくて済む分、雰囲気を壊さず、やわらかい光の中で被写体を写せます。猫を撮るときも、フラッシュの光で驚かせることなく撮れるのは、明るいレンズならではの強みです。
小物を撮っていると、何をしているのか気になって猫が棚に登ってきました。暗いシーンだったのですがチャンスだと思い、とっさにシャッターを切りました。明るく撮れるレンズのおかげで、手持ちでブレることなく画質の良い状態でお気に入りの一枚を残せました。
明るいレンズを使うと、光そのものが写真の一部になる感覚があります。窓から差し込む光が、被写体にやわらかく当たる瞬間、その光ごと写真に閉じ込めることができる。日常の何気ないシーンが、ドラマチックに、そしてひとつの作品になる瞬間です。
ガラスを透過する光の美しさや主役の立体感など、単焦点レンズだからこその1枚になりました。
まとめ
猫も小物も、いつもの暮らしの中にいる、身近な存在です。ですが、スタイリングやレンズの選び方次第で、日常のワンシーンがぐっと印象的な写真になります。
まずはキットレンズで身近にある好きなものにレンズを向けてみてください。撮り続けるうちに、「もっとボケを大きくしたい」「もっと明るく撮りたい」という気持ちが生まれてきたら、単焦点レンズを試してみるタイミングです。
好きなものを撮ることが、写真をもっと楽しくしてくれます。今日のお気に入りを、ぜひPENで残してみてくださいね。
次回は、人物写真の楽しさをお伝えします。
*35mm判換算値
鎌田 風花
兵庫県神戸市在住。ナチュラルで透明感のある風景写真やポートレートを得意とし、暮らしや日々の小さな幸せを写真で表現することを大切にしている。
家族写真の出張撮影や広告撮影をはじめ、写真教室の講師としても活動中。




