花を撮る - 光と色をまとった、小さな世界へ - はじめてのレンズ選び 【第1回】

掲載日:2026年09月09日

掲載日:2026年09月09日

こんにちは、フォトグラファーの鎌田風花です。
この連載では、花や猫・小物、人物、街など、日常の中にある被写体をテーマに、カメラで撮る楽しさをお伝えしていきます。

カメラを手にしたとき、最初に撮りたくなるものは何でしょうか。私の場合、それは花でした。近所の公園に咲いていた名前も知らない花に、夢中でレンズを向けたことを今でも覚えています。

花はカメラを始めた人にとって、最高の被写体だと思っています。公園や散歩道、いつでも、どこでも撮れる身近さと、風で揺れることはあってもその場でじっとしてくれているので、ゆっくり構図を考えることもできます。そして光の当たり方や撮る角度によって、同じ花がまったく違う表情を見せてくれる面白さがあります。

この記事では、花を撮る楽しさと、PENで花を撮るときに知っておくと写真が変わるコツについてお話します。

フォトグラファー
鎌田 風花

今回の鎌田 風花さんのメイン機材

デジタル一眼カメラ PEN
デジタル一眼カメラ PEN 詳しくはこちら

花撮影の魅力

花を撮る楽しさは、一言で言うと「撮るたびに違う顔を見せてくれる」ことだと考えています。朝と夕方では光の色が違います。晴れの日と曇りの日では花の表情が違います。少し角度を変えるだけで、背景の色も変わります。工夫することで、シャッターを切るたびに違う一枚を撮ることができます。

花畑を広く切り取るのも良いですが、2枚目のように近づいて真上から撮影(俯瞰撮影)をすると、花の形状がよく伝わります。距離感や角度によってその花らしさを見つけることができるので、しゃがんでみたり、上から覗いてみたりしてください。

花は季節が変わるたびに主役が変わり、撮りに行く理由が生まれます。カメラを持って花を撮り始めると、季節の移ろいも身近に感じられるようになり、いつの間にか、花や植物を探しながら街を歩くようになります。

キットレンズで撮ってみよう

購入する際、カメラ本体とレンズがセットになった「レンズキット」を選ばれる方が多いと思います。このレンズキットに付属している標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III」は、焦点距離を変えられる便利なレンズで、花撮影にも活躍してくれます。

標準ズームレンズの面白さは、ズームを使って「引き」と「寄り」の両方を試せることです。引きで撮れば花畑や群生した様子を広く写すことができ、寄りで撮れば花を大きく切り取ることができます。同じ場所からズームリングを回すだけで、全く違う写真が生まれるのは、ズームレンズならではの楽しさです。

また、広角端の14mm側では、ピントを合わせて被写体に最も近づける限界の距離、いわゆる最短撮影距離が13cmと短く、レンズ先端から約4~5cmまで近づくことができるので、被写体にぐっと寄ってボケ感のあるダイナミックな写真を撮ることができます。

花の中央にあるしべが、カーブを描いてぐんと伸びている様子を、広角端でダイナミックに切り取ってみました。背景の木漏れ日が美しい玉ボケとなり、色の対比で花の存在感を引き立ててくれました。

まずは難しいことを考えず、キットレンズで花に向かってみてください。引いて撮ったり、寄って撮ったり、角度を変えてみたり。そうして撮り続けるうちに「もっとボケさせたい」「もっと近づきたい」という気持ちが生まれてくるはずです。

F値を変えると、花の表情が変わる

レンズには「F値」という数値があります。これは簡単に言うと、写真の明るさとボケ量を決める数値です。F値が小さいほど背景が大きくぼけ、F値が大きいほど背景までくっきりと写ります。

たとえば同じ花を撮るとき、F値を小さくすると(「絞りを開く」とも言います)、背景がふんわりとボケて花だけが浮かび上がるような写真になります。反対にF値を大きくすると(「絞る」と言います)、花の周りの葉や背景までしっかりと写り、花が咲いている環境ごと伝えるような写真になります。

どちらが正解ということはありません。主役の花だけを際立たせたいときはF値を小さく、周りの雰囲気も伝えたいときはF値を大きく--伝えたいイメージによって使い分けるのが良いでしょう。

最初は「Aモード(絞り優先撮影)」で撮りながら、少しずつF値を意識してみてください。F値をひとつ変えるだけで、同じ花がまったく違う表情を見せてくれます。
ボケ感を大きくするコツは、花にできるだけ近づき、背景を遠ざけることです。そうすると、花が背景から浮き上がり、立体感のある写真になります。

M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III

84mm相当*, 1/800秒, F5.6 , ISO400

背景を遠くにしてボケ感を出す、ということを意識して撮影しました。このレンズは焦点距離によって、最小F値が変化するため、ここではF5.6が最小F値となります。距離感を利用して背景をボカすと、視線が自然と花の方にいくようになります。

レンズを変えると、もっと近づける

キットレンズで花撮影を楽しんでいると、「もっと近づいて撮りたい」「花の細部まで写したい」と思うことも。そんなときに試してほしいのが、マクロレンズです。

M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro

60mm相当*, 1/400秒, F4.5, ISO200

わすれな草という、とても小さな花をマクロレンズで撮影しました。マクロレンズは、被写体に近づいて細部まで写せるという特徴があります。他のレンズでは、近づくとピントが合わなくなってしまう距離でも、マクロレンズなら花びら一枚一枚の質感や、水滴、しべに付く花粉まで写し出すことができます。初めてマクロレンズで撮ったとき、肉眼では気付けない花の細部が、写真の中に広がる感動がありました。

M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III

76mm相当*, 1/1250秒, F5.4, ISO400

M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro

60mm相当*, 1/1250秒, F5.6, ISO400

キットレンズとマクロレンズで同じ花を撮り比べてみました。キットレンズが花全体の雰囲気を伝えるのに対して、マクロレンズは花の中に別の世界があることを教えてくれます。その発見が花撮影をさらに面白くしてくれます。

小さな世界を大きく写す。マクロレンズを使うことで、今まで何気なく見ていた花の違った魅力に気付くことができます。

光の向きが、花の印象を左右する

花を撮るとき、構図やF値と同じくらい大切にしてほしいのが、「光の向き」です。同じ花でも、光がどこから当たっているかによって、写真の印象は大きく変わります。
ここでは3つの光の向きを紹介します。被写体の正面から光が当たる「順光」、横から光が当たる「サイド光」、被写体の後ろから光が当たる「逆光」です。

順光は花の色をはっきりと写すのに向いていて、よく晴れた日は背景を空にすると、空の青さもしっかりと残すことができます。

M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III

28mm相当*, 1/4000秒, F3.5, ISO200

低い位置から見上げるように撮ると、青空と一緒に撮りやすくなります。PENはバリアングルモニターなので、低い位置から撮影する時もでも、液晶画面を開いて90度回転させると、体勢に負担をかけることなく撮影ができます。

サイド光は、陰影が出るため立体感を表現しやすくなります。私は、メリハリのあるドラマチックな印象で撮りたい時にサイド光で撮ることが多いです。

M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro

60mm相当*, 1/40秒, F4.5, ISO500

背景を暗くすることで、横から光があたっている花の立体感、ディテールがより強調されます。花の色と背景の色の組み合わせも大切です。

逆光は、光が花びらを透かして輝きます。光で透かした花びらは繊細な美しさがあり、やわらかく透明感のある雰囲気になりやすいです。逆光で撮るときは、カメラの露出補正をプラスに設定すると、花が明るく写ります。まずは難しく考えず、光の方向を意識しながら花の周りをゆっくりと歩き、自分が好きだと感じた光の当たり方を見つけてみましょう。

M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro

60mm相当*, 1/160秒, F3.5, ISO200

M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro

60mm相当*, 1/1000秒, F3.5, ISO200

花びらが薄い花や、雫がついているようなシチュエーションは逆光で撮影すると、きらきらとした雰囲気になります。後ろにある雫が玉ボケとなり、主役の花を引き立たせます。

まとめ

花は、カメラを持ち始めたばかりの方にも、長く撮り続けている方にも、いつでも新しい発見を与えてくれる被写体です。思うままに撮るのも良いですが、F値でボケ感を変えてみる、マクロレンズで花に近づいてみる、光の向きを意識してみる。小さな工夫で写真の印象は大きく変わります。

いつもの散歩道には、四季折々で様々な彩りがあるはずです。PENを持って、身の回りに咲いている花を見つけてみてくださいね。

次回は、猫と小物を撮る楽しさをお伝えします。

M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro

60mm相当*, 1/1000秒, F3.5, ISO200

M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II

34mm相当*, 1/2500秒, F1.8, ISO200

M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II

50mm相当*, 1/250秒, F2.0, ISO200

*35mm判換算値

記事内で使用した機材

鎌田 風花 プロフィール画像

鎌田 風花

兵庫県神戸市在住。ナチュラルで透明感のある風景写真やポートレートを得意とし、暮らしや日々の小さな幸せを写真で表現することを大切にしている。
家族写真の出張撮影や広告撮影をはじめ、写真教室の講師としても活動中。