掲載日:2021年6月25日
超広角レンズと標準レンズ、本来であれば使用用途が全く異なる焦点距離のレンズである。M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROは広角域16mm相当[※]から標準域50mm相当[※]までレンズ交換無しで撮影ができる待ちに待った「標準レンズ」だ。今までのM.ZUIKO DIGITALレンズのラインナップは24mm相当[※]を境に広角か標準寄りかでレンズ交換をする必要性があった。私の場合は「自然風景」というフィールドで撮影することが多いので防塵・防滴性能や、ダストリダクションシステムが優れているOM-Dシステムを愛用しているが、できることならレンズ交換という「リスク」はなるべく減らしたい。
※ 35mm判換算 焦点距離
壁面を覆う迫力のある氷柱を16mm相当[※]で撮影。超広角レンズの生み出すパースが奥行き感を演出してくれる。24mm相当[※]だと理想のフレーミングができないため、通常であれば標準レンズから超広角レンズへのレンズ交換が必要なシーンだが16mm相当[※]スタートのおかげでレンズ交換を行うことなく瞬時に撮影を行うことができた。
足場が悪いロケーションではレンズ交換をなるべく控えたい。普段から超広角レンズと標準レンズをそれぞれ組み合わせていたOM-Dを2セット持ち歩いていたが、M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROの登場で1つにまとめることができるようになったのはとてもありがたい。
私が主に使用しているレンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROと、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROの2本だ。その中でもよく使う焦点距離が18~50mm相当[※]付近であり、超広角域と標準域とを撮影する場合、レンズ交換を行うかそれぞれのレンズを装着したOM-Dを2セット用意して撮影することが多い。できることならレンズ交換の手間を省いて撮影に集中したい、機材を減らして身軽に撮影したい、そんな願いを叶えてくれたのがM.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROである。自分がよく使う焦点距離をカバーしつつ、F4.0通し、防塵・防滴性能、そしてPROレンズならではの高画質を兼ね備えた理想の「標準レンズ」に仕上がっている。焦点距離が16~50mm相当[※]なので「超広角レンズ」として考える人が多いかもしれないが、私にとってこれは「超広角が使える標準レンズ」だと思っている。
レンズF値開放からシャープな描写。岩肌の細かいディティールも見事に描写している。超広角レンズを使うときはいつもよりさらにもう一歩被写体に近づいて撮りたくなるが、防塵・防滴性能のおかげで水辺での撮影でも安心して撮影できた。
撮影目的の滝に向かう途中で撮影した一枚。移動中は必要最小限の機材だけ出しておくことが多いので標準レンズの出番が多い。移動中はレンズ交換を極力行いたくないので「超広角域も使える標準レンズ」は理想の1本だ。
M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROはズーム倍率でいえば3.1倍だが、超広角から標準域での3.1倍は想像以上に変化が大きい。
※ 35mm判換算 焦点距離
標準レンズといえば24mm相当[※]スタートが定番だったが、24mm相当[※]よりも超広角域が使えることで視点が大きく変わった。標準レンズの目線で景色を探している際に、ここで超広角レンズが使えたら…そんなシーンでもレンズ交換を行うことなく超広角へ画角をシフトできるのはストレスフリーな体験だ。ちょっとカメラを持ち出して撮影しようかなというときに超広角と標準レンズのどちらを持っていこうか…という究極の選択が解決されたことで、より身軽になり撮影に注力することができるのだ。M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROは、カバーしている焦点距離に対し小型軽量な設計であり、使い勝手の良い焦点距離というだけでなく、F値開放でも中央から周辺まで気持ちがいいほど画質もシャープに写る。
F値が4.0通しということもあり、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROや、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROとも相性が良く描写の傾向も似ているので非常に良い組み合わせだと私は思う。使い方としてはOM-D E-M1XやOM-D E-M1 Mark IIIにはM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROとの組み合わせで、OM-D E-M5 Mark IIIにはM.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROとの組み合わせがベストマッチだ。
※ 35mm判換算 焦点距離
小型軽量なOM-D E-M5 Mark IIIとのバランスも良く、旅行や最小限の機材で撮影に出掛けたい時にはベストな組み合わせ。超広角から標準域をカバーし、防塵・防滴、強力な5軸手ぶれ補正、ハイレゾショットといった風景撮影で活躍する性能や機能が入っており、マイクロフォーサーズならではの撮影スタイルを堪能することができる。
M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROとOM-Dを組み合わせて様々な場所へ撮影に出かけたが、16~50mm相当[※]という焦点距離は旅の記録を残すのに最適だなと実感した。何気なく景色を眺めているときの視野とM.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROの焦点距離は近いものがあり、この一本で特に不便に感じるシーンはなかった。普段なら超広角レンズと標準レンズを持ち出すロケーションで、M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO レンズ1本だけ持ち撮影に出かけてみた。
M.ZUIKO DIGITAL PRO レンズシリーズといえば描写だけでなく防塵・防滴性能も魅力の一つだ。OM-D E-M1シリーズやOM-D E-M5シリーズとの組み合わせでは「まるで防水なのでは?」と勘違いしてしまうほどの防塵・防滴性能で、どんなフィールドでも安心して撮影に集中することができる。レンズを選ぶときは焦点距離をベースに「画質」や「開放F値」に目が行きがちだが、目に見えない部分の「サイズ感」や「防塵・防滴性能」にも注目したい。特に自然風景撮影では防塵・防滴性能や機動力を損なわない小型軽量なレンズは撮影をする上で重要なポイントだ。
また、M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROはフィルターが装着可能なのでNDフィルターやPLフィルターを使った撮影も可能となっている。スローシャッター効果を得るだけでなく、滝をハイレゾショットで撮影するときなどは高速シャッターで撮影するとうまく合成ができず失敗することも多いのだが、スローシャッターでハイレゾショット撮影をすることで成功率が大きく上がる。
φ72mmのフィルターを装着できるので様々なフィルターワークを楽しめる。超広角レンズでも円形フィルターや角形フィルターが装着できるのでより表現の幅が広がる。
NDフィルターを使って滝の流れを抽象化させて撮影。今まではM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROで撮影していたシーンだがそのままではフィルターが装着できなかったので嬉しいポイントだ。
OM-D E-M1 Mark IIIと組み合わせることで防塵・防滴性能ならではの撮影を楽しめる。滝の裏側から撮影していたのでシャワーを浴びたような状況での撮影だったがカメラもレンズも問題なく撮影を続けることができた。
※ 35mm判換算 焦点距離
M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROは風景、街、星など超広角域から標準域の焦点距離をよく使うジャンルで活躍してくれるだけでなく最大撮影倍率0.42倍(望遠端/35mm判換算)とハーフマクロに迫る近接撮影性能も保有しており、これ一本で超広角・標準・マクロが完結してしまう。
太陽を直接画面に入れても嫌なフレアやゴーストはほとんど見られない。超広角レンズといえば逆光が苦手なものも多いがM.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROは積極的に光源を入れて撮影したくなる。
16mm相当[※]と50mm相当[※]のそれぞれ最短撮影距離で撮り比べ。16mm相当[※]ではロケーションを生かしたマクロが、50mm相当[※]では背景を大きくぼかしたマクロ撮影が可能だ。
※ 35mm判換算 焦点距離
M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROの登場により標準レンズの選択肢が大きく変わるだろう。今まではM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROと、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROが私の中で出番が多かったレンズだが、改めて自身が普段撮影している画角を見直してみると、このM.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROがカバーしてくれることに気が付く。特に24mm相当[※]を境にレンズ交換をせずとも、超広角から標準域までレンズ1本でカバーできるのは素晴らしい。
カメラは旅行のお供として持ち出す人も多いと思う。
標準レンズでは広角域が足りない…しかしレンズを2本も3本も持っていくのはちょっと…
という人にはまさにピッタリな1本に仕上がっている。
私自身もこのレンズを使ったことで標準レンズの考え方が大きく変わった。この先もM.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROとOM-Dをお供に新しい写真表現の旅に出たいと思う。
※ 35mm判換算 焦点距離
超広角16mm相当[※]から標準50mm相当[※]までをカバーする高いズーム倍率を実現しながら、全域で卓越した描写性能を発揮する高性能なズームレンズです。小型軽量化を徹底したうえ、防塵・防滴などの耐環境性能や操作性にも優れ、超広角域ならではのダイナミックな画角から標準域の安定した画角まで、1本で高画質かつ多彩な撮影を快適に楽しめます。
※ 35mm判換算
他の追随を許さない機動力と信頼性でプロ写真家から絶大な支持を得ているプロフェッショナルモデルOM-D E-M1シリーズ。進化した高性能・高機能を、縦位置・横位置で同じホールディング性を実現した、防塵・防滴・耐低温設計の小型ボディーに凝縮。高い操作性と信頼性を兼ね備えた、あらゆる点でプロの基準を満たすハイスペックなミラーレス一眼カメラに仕上がっています。
他の追随を許さない機動力と信頼性でプロ写真家から絶大な支持を得ているプロフェッショナルモデルOM-D E-M1シリーズ。強力な手ぶれ補正機構と新画像処理エンジンTruePic IXを防塵・防滴・耐低温構造の小型軽量ボディーに搭載し、さらなる高画質撮影が可能になりました。シーンや被写体を選ばずに、あらゆる場所や環境下で思い通りの撮影を実現します。
OM-D E-M5 Mark IIIは、小型軽量と高性能を両立できるマイクロフォーサーズシステムの魅力を最大限に引き出したミラーレス一眼カメラです。圧倒的な小型軽量ボディーにハイエンドモデルに匹敵する画質性能とAF性能を搭載するほか、新開発の強力なボディー内5軸手ぶれ補正機構や、多彩な撮影機能も搭載。