写真家 川野 恭子 × OM SYSTEM OM-5 ~山を愛する私がOM-5を選ぶ理由 尾瀬編~
掲載日:2024年05月08日
掲載日:2024年05月08日
はじめに
山を愛して8年。登り続けるうちに趣味から仕事へ発展し、撮影を依頼されるようになり、NHKにっぽん百名山「尾瀬をめぐる山旅〜”水の楽園”を撮る〜」に出演しました。そんな私にとって、OM-5はプライベートでも仕事でも連れて行く欠かせない存在です。
今回写真でご紹介する尾瀬は、湿原、沼、滝がある水が豊かなエリア。さらに日本百名山が二座もあり、様々な角度から絶景を楽しめます。ハイキングから登山まで、体力に合わせて歩けるのも魅力です。
そんな大好きな尾瀬の写真とともに、私がOM-5を選ぶ6つの理由をお話しします。
1.小型軽量のOM-5を選ぶことで、山歩きが楽になった
OM-5を選ぶ一番の理由は「小型軽量」だから。体力に自信のない私が山を渡り歩くには荷物を軽くするしかありません。ザックやテントなどの装備をウルトラライト系のギアで揃えたように、カメラも小型軽量にこだわりました。OM-5はカメラ本体が約414g。500mlペットボトル1本よりも軽く、愛用レンズ ED 12-45mm F4.0 PROと合わせても約668gしかありません。
日帰りなら少ない荷物ですみますが、泊まりとなれば着替え、テント泊ではテントや寝袋、食事も持たねばならず、かなりの重量になります。ザックが重いと体力や集中力、撮影意欲まで削がれます。OM-5にしてから山歩きが楽になっただけでなく、歩ける山が増えました。
2.防塵・防滴だから、安心して山に持ち込めた
OM SYSTEMには、OM-D E-M10 Mark IVやPEN E-P7 など、さらに小型軽量な機種がありますが、OM-5を選ぶ絶対的理由は、IP53の防塵・防滴性能が搭載されているから。雨が降るたびザックにカメラを仕舞う必要がなく、雨ならではの撮影を楽しむことができます。
雨予報のときは、ED 12-45mm F4.0 PROを装着して歩きます。なぜなら、広角から中望遠による風景撮影、ハーフマクロ機能による水滴撮影まで楽しめるからです。もちろん、レンズも防塵・防滴。雨の日のレンズ交換は避けたいので、この一本であらゆる状況に対応できるのは本当に助かっています。OM-5に装着したときのバランスも良く、携帯しやすいのも疲労軽減の大事なポイントです。
3.山で欲しい撮影機能が十分に揃っていた
OM SYSTEMはカメラひとつで表現力豊かな写真が撮れる「コンピュテーショナル フォトグラフィ」機能が優れているのが特徴です。OM-1シリーズのほうが機能は充実していますが、OM-5には山で撮影するときに欲しい機能が十分揃っています。表現力が高いだけでなく、OM-1シリーズより小さいことから山との親和性が高いのも嬉しいポイントです。
5000万画素手持ちハイレゾショット
撮像センサーを移動させながら12回撮影を行い、1枚に合成して約5000万画素の高解像写真を生成します。PC現像不要&三脚不要で撮影できるので重宝しています。
参考に、手持ちハイレゾショット機能での撮影と通常撮影の違いが分かるよう、1枚目の作品を部分拡大したデータを掲載しました。木々や建物の看板など、被写体の輪郭に注目して比較すると違いが分かると思います。
うっかり望遠レンズを置いてきてしまったときに役立つ裏技として、撮影後のトリミングで擬似的にズームアップしたような画像を得られます。また、デジタル処理で2倍に拡大して記録できるデジタルテレコン機能との併用が可能なのも嬉しいですね。
ライブND
NDフィルター(人間で言えばサングラスのような減光できるフィルター)を装着した時のようなスローシャッター効果を得られる機能。OM-5では効果の段数はND2,4,8,16と4段分まで選べ、液晶画面やファインダーで効果を確認しながらの撮影が可能です。山の中では手袋を着用することが多く、物理的なフィルターの付け外しがしにくいので、ボタン操作だけでND効果を得られるのは便利ですよね。
欲を言うと、ハーフNDの効果を再現できるOM-1 Mark IIのライブGND機能があれば嬉しいですが、私にとって第一に優先したいのはカメラを軽量化すること。「これだけは譲れない」という優先項目を見極めてカメラを選ぶことも大事です。
ハイライト&シャドウコントロール
暗部だけ、明部だけ、中間部だけ…と、領域ごとに明るさを変えられる機能です。白飛びや黒つぶれを抑えながら明るさをコントロールできるので、山中で出会う明暗差の激しい状況でも、目で見た印象に近い明るさに仕上げることができます。
手持ちハイレゾショット機能で撮影。湿原のシャドウ部のみを明るくすることで、人影が際立つように。露出で明るくすると雲が白飛びしてしまうときに役立つ機能。
66mm相当*/Aモード/F5.6/1/1000秒/-1.0EV/ISO200
WB:曇天 +3STEP(R)
ハイライト&シャドウコントロール:Highlight:±0,Midtone:±0,Shadow:+4
カラークリエーター:COLOR:3,VIVID:+3
5000万画素手持ちハイレゾショット
ハイライト&シャドウコントロールを使用するときの露出決定のポイントは、空や雲などのハイライト部が白飛びを起こさない明るさに設定することです。露出を決定してから、ハイライト&シャドウコントロールで微調整していきます。
カラークリエーター
30段階の色相調整と8段階の彩度調整が可能です。具体的には「もう少し空の色を濃く赤くしたい…」など、彩度やカラーフィルター効果を細かく調整できるので、より印象的な作品に仕上がります。色にこだわる私にとって欠かせない機能のひとつです。
カラークリエーターは、これまで紹介した機能…5000万画素手持ちハイレゾショット、ライブND、ハイライト&シャドウコントロールとも併用できます。カメラひとつで表現力豊かな作品を残せるのもお気に入りです。
4.強力な手ぶれ補正により、撮りたい瞬間に手持ちで撮影できる
OM-5 はボディー内の5軸手ぶれ補正により、ボディー単体6.5段、シンクロ補正7.5段 の補正能力がありますから、手持ち撮影でも滅多に手ぶれをすることはありません。ですので、星空撮影などの長秒露光をする予定が無ければ三脚を持たずに登ります。荷物も軽くなりますし、手持ち撮影のほうが撮りたいと思った瞬間を逃しませんから。三脚が必要だとしても、OM-5は小型軽量なので小さい三脚で十分。結果的に荷物の軽量化につながり、大変助かっています。
5.レンズも小型軽量だから、携帯&交換がしやすい
山でのレンズ交換は手のかかる作業。手が届かない場所にレンズを収納すると交換が億劫になります。ですが、OM SYSTEMはドリンクホルダーに収納可能なほど小さなレンズが多いので、ザックのショルダーベルトにドリンクホルダーを装着することで素早くレンズ交換が可能です。この方法を思いついてからレンズ交換がとても楽になりました。ただし、ホルダーが落下しないよう、しっかり固定することが重要です。
私は以前、広角から中望遠域のズームレンズED 12-45mm F4.0 PROと、標準域の単焦点レンズED 25mm F1.2 PRO の2本で山を歩いていました。望遠レンズは大きいものが多く、携帯しにくいからです。ですが、350ml缶程度の大きさである望遠ズームレンズED 40-150mm F4.0 PROが登場してから望遠レンズも積極的に持ち歩くようになりました。おかげで、撮影できるシチュエーションが格段に増え、山歩きがさらに楽しくなりました。
6.スマートフォンでは難しい、空気感のある写真が撮れる
カメラを軽くするなら「スマートフォンでも十分では?」と言われます。そうなのですが、空気感のある写真を撮りたいと思うと、デジタル一眼カメラに軍配が上がると感じています。空気感とは何かを説明するのは難しいですが、背景のぼけ具合と解像感のバランスではないでしょうか。
2枚目の作品で使用しているED 25mm F1.2 PROは最小絞り値がF1.2なので、ぼけの強い写真を撮りたいときや、景色を生かした空気感のある写真を撮りたいときに出番の多いレンズです。最近は、より小さくて軽いED 20mm F1.4 PROを手に入れたので、選手交代するかもしれませんが、長いこと連れ歩いてきただけに、素晴らしいレンズであることは確かです。
最後に
OM SYSTEM OM-5がいかに、山において効率的な撮影システムであるか伝わりましたでしょうか?荷物の重さは体力消耗に大きく影響します。だからこそ、効率の良い撮影システムを選ぶことが大事になります。荷物が軽ければ歩ける距離や時間も多くなりますし、足のケガも少なくなり、山歩きや撮影が楽しくなります。長年山を歩き続けている方、これから山を始めてみたい方、スマホからステップアップしてデジタル一眼カメラを使ってみたい方はぜひ、OM SYSTEM OM-5を検討してみてはいかがでしょうか。
*35mm 判換算値
川野 恭子
「日常と山」を並行して捉え、自身に潜む遺伝的記憶の可視化を試みた作品制作を行う。
ここ数年は山小屋勤務を経験しながら山の歴史・文化に造詣を深めることに努めている。
写真・登山系メディアへの写真提供、撮影、執筆、講師、テレビ出演(NHKにっぽん百名山ほか)など、多岐に渡り活動。
京都芸術大学通信教育部美術科写真コース非常勤講師。
著書に、写真集『山を探す』(リブロアルテ)、『yamadori』(私家版)、『はじめてのデジタル一眼撮り方超入門』(成美堂出版)、織田紗織(saorin)氏との共著『山の辞典』(雷鳥社)ほか多数。