写真家 吉住 志穂 × M.ZUIKO DIGITAL
ED 40-150mm F4.0 PRO
~美しいボケとコンパクトさを兼ね備えた新・望遠ズームレンズ~

掲載日:2022年2月15日

吉住 志穂

1979年東京生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。写真家の竹内敏信氏に師事し、2005年に独立。「花のこころ」をテーマに、花のクローズアップ作品を中心に撮影している。女性ならではの視点で捉えた作品が多く、2021年には写真展「夢」を開催。また、写真誌での執筆や撮影講座の講師を務める。
日本写真家協会(JPS)会員
日本自然科学写真協会(SSP)会員
写真展「Heartful Flowers」「Ants」「Yin&Yang」「花時間」など

今回の作品の中で、このボケがいちばんお気に入りです。色の違う花を重ねるように配置してぼかしました。ボケの陰影を少しだけ出すため、絞りF値開放より一段絞ったF5.6を選択しました。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO/300mm相当[※]/1/320秒/F5.6/ISO 200/+0.7EV

標準ズームに加えて、次に望遠ズームが欲しいと思っている方は多いと思います。望遠レンズは遠くの風景や人物をよりアップで撮ることができ、花写真家の私にとっても欠かせないレンズです。遠くの桜や花畑を狙うときはもちろん、近い距離にある花のクローズアップでも望遠ズームを使います。その使用率は8割以上で、残りが標準ズームやマクロレンズです。花のクローズアップなら接写が得意なマクロレンズがメインになるかと思われますが、私の作風をご覧いただくと、それほど花を大きく写しておらず、むしろ、背景にぼけの空間を多く取り入れていることがわかります。なぜクローズアップ撮影で望遠ズームを使うかというと、背景を大きく、ふんわりとぼかしたいからなのです。

背景をぼかすには

  1. 絞りを開ける(絞りF値を小さくする)
  2. 焦点距離の長いレンズを使う(望遠レンズを使う)
  3. 被写体に近づく
  4. 被写体と背景が離れている場所を選ぶ

という4つの要素が必要になります。

私が使用しているマクロレンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroで、焦点距離は120mm相当[※]となりますが、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PROは80~300mm相当[※]までの焦点距離があるため、より望遠域での撮影が行えるズームレンズとなります。小さな花をクローズアップする、花の一部だけを狙うといった撮り方ではマクロレンズを使いますが、大きなボケを意識した撮影では望遠ズームレンズを使っています。マクロレンズは被写体に近づくことで背景に大きなボケが作れますが、花の種類によってはアップしすぎると迫力が出てしまいます。小さな花を可憐な雰囲気で写したい時は焦点距離の長さを活かし、望遠ズームレンズで大きなボケを作りつつ、画面内に小さく配置するようにしています。

手前の花をぼかした“前ボケ”です。二輪のダリアの間から主役の花にピントを合わせました。前ボケは焦点距離を長くし、前ボケになる花に近づくことで大きなボケが得られます。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO/300mm相当[※]/1/160秒/F4.0/ISO 200/+1.0EV

逆光でバラを写すと、花びらが透けてとてもきれいです。また、背景にある花や葉も光を反射して輝き、丸いボケを生み出してくれます。丸ボケは小さすぎると煩雑になるので、すっきりと程よくぼかすのがポイントです。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO/300mm相当[※]/1/250秒/F4.0/ISO 200/+1.0EV

とてもきれいなボケが作れました。絞りF値を開放とし、コスモスに近づいています。それと、花は日陰でありながら、背景は日向という場所を選んでいます。そうすると、花と背景との明暗差から明るい背景が作れます。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO/212mm相当[※]/1/200秒/F4.0/ISO 200/+1.7EV

望遠ズームレンズにも種類があって、どれを買おうか迷ってしまいますよね。私のおすすめは焦点距離80~300mm相当[※]程度のレンズで、中望遠から望遠までがカバーできるタイプです。それよりも焦点距離が短いとボケ量が物足りなく感じるし、より焦点距離が長いと花を撮るには扱いにくくなってきます。
そこで、私が愛用しているのはM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO。絞り開放F値がF2.8とこのクラスの望遠ズームの中では最も絞りの開放値が小さく明るいレンズです。しかし、絞り値が明るい分、レンズ径は大きくなり、重量が約760gと重量があるのは致し方ないといったところでしょうか。またM.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 IIというレンズがあり、望遠ズームながら被写体まで約50cmまで寄れて、約285グラムと小型で軽量なのが嬉しいですが、望遠端での絞りの開放F値がF5.6なので、撮影距離や背景との距離でボケ量をカバーする必要があります。そして、その間をいくのが、今回使用したM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PROです。

マクロレンズほどのクローズアップはできませんが、最短撮影距離が約0.7mとかなり被写体に寄ってもピントが合うので、ダリアであれば画面いっぱいに花を写すことができます。被写体に最短まで寄り、離れた背景を入れることで大きくぼかすこともできます。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO/300mm相当[※]/1/160秒/F4.0/ISO 200/+1.7EV

M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PROと私が普段愛用しているM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROとでは焦点距離は同じでも、絞りの開放F値が異なります。実際に比べると、ボケ量に一段分の差は確かにありますが、それですごく作品のイメージが変わってしまうとほどではありません。また、絞りの開放F値が明るいことはISO感度を一段抑えられるのもメリットでしょう。イルミネーションの写真は全て三脚を使わず、手持ちで撮影しましたが、強力な手ぶれ補正も相まって、シャープに撮ることができました。

天地逆さまに見えますが、これは水面に反射したイルミネーションを撮影したものです。画面下にあるのは手前のイルミネーションの前ボケ。花を撮るのと同じテクニックでイルミネーションを撮ってみました。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO/300mm相当[※]/1/6秒/F4.0/ISO 800/-0.7EV

細かく輝くボケを作りたかったので、焦点距離を140mm相当[※]程度に抑えました。ボケは絞りでもコントロールできますが、絞りで調整するとボケの形に影響がでてしまうので、絞りF値は開放にしつつ、焦点距離で調整した方が丸みを帯びたボケになります。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO/144mm相当[※]/1/60秒/F4.0/ISO 400/-2.0EV

多重露出機能を使って、大きさの違うボケを重ねました。ピントを合わせたイルミネーションと大きめのボケが1回目の露光で、ボケが細かい画像は2回目の露光です。多重露出機能はアイデア次第でいろいろな撮影ができますよ。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO/80mm相当[※]/1/250秒/F4.0/ISO 200/-1.7EV

周囲に人が多かったので、三脚を使用せず手持ちで撮影しました。薄暗い灯りだけで撮影しましたが、カメラの手ぶれ補正が強力なので、ISO感度を200に抑えつつ、シャープに撮ることができました。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO/162mm相当[※]/1/15秒/F4.0/ISO 200/-0.7EV

主役を前後のボケで挟むのはいつもの花畑の撮影でもよくやります。ローアングルにすることで前後のボケを重ねやすくなりますが、そんなときはバリアングル式の液晶モニターを使用すると楽な姿勢でローアングル撮影ができます。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO/300mm相当[※]/1/160秒/F4.0/ISO 800/-0.3EV

M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PROとM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROでは重量が約378g軽くなるので、持ち運びやすく、撮影中は常に首から下げていても苦にならないと感じました。収納時は沈胴状態になっており、使用時にズームリングを回すと繰り出されるので、収納もコンパクトになります。それでいて、画質は絞りF値開放からシャープで、下記ヒマワリの写真ではシベの部分を拡大してみると、そこにあるかのように鮮明に解像されているのに驚きました。

焦点距離80mm相当[※]でヒマワリをクローズアップ撮影しました。300mm[※]側のような大きなボケにはなりませんが、背景にも花が咲いている雰囲気を見せたかったので、あえて短い80mm相当[※]の焦点距離で撮影しています。花芯のシャープさが素晴らしい。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO/80mm相当[※]/1/2000秒/F4.0/ISO 200

バラは小さく写しつつ、空の面積を広くしています。そうすると、花の可憐さ、空の広がりを感じさせることができます。焦点距離80mm相当[※]では中望遠の画角となり、人間の視野角よりも少し狭い感覚で撮ることができます。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO/80mm相当[※]/1/1250秒/F4.0/ISO 200/-0.3EV

5000万画素相当の超高画質が得られるハイレゾショット機能で撮影した一枚です。花畑の一輪一輪がより緻密に描写されていることに驚かされます。花が揺れると像がずれるので、風のないタイミングでシャッターを切りました。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO/200mm相当[※]/1/80秒/F5.6/ISO 200/+1.0EV/三脚ハイレゾショット

夕日のボケを重ねるようにコスモスをクローズアップしました。絞りF値を開放にして夕日のボケを大きくするのがポイントです。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO/300mm相当[※]/1/200秒/F4.0/ISO 200/+0.3EV

花だけではなく、昆虫を撮るのにもおすすめのレンズです。バラの花に止まったトンボを撮りました。ボケはとてもやわらかなのに、トンボの頭部を拡大してみると、細かな毛まではっきりと写し出されています。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO/280mm相当[※]/1/250秒/F5.0/ISO 200/+0.3EV

M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PROはボケも滑らかで、背景ボケ、前ボケともに大きなボケが作りやすいレンズです。

同じ焦点距離の望遠ズームレンズでもF2.8、F4.0、F4-5.6と選択肢が増えたことはユーザーにとってとても良いことだと思います。絞りの開放F値の差はありますが、ボケ量、重量、もちろん価格も考慮して選ぶことができます。花のクローズアップ撮影に限らず、望遠ズームはどんな被写体でも使用頻度の高いレンズだと思います。みなさんの撮影スタイルに合ったレンズを選択して、撮影を楽しんでみてください。

※35mm判換算 焦点距離

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OM-D E-M5 Mark III

OM-D E-M5 Mark IIIは、小型軽量と高性能を両立できるマイクロフォーサーズシステムの魅力を最大限に引き出したミラーレス一眼カメラです。圧倒的な小型軽量ボディーにハイエンドモデルに匹敵する画質性能とAF性能を搭載するほか、強力なボディー内5軸手ぶれ補正機構や、多彩な撮影機能も搭載。

M.ZUIKO DIGITAL
ED 40-150mm F4.0 PRO

沈胴機構を採用し、圧倒的な携帯性を実現した全域F4.0の小型軽量 望遠ズームレンズ。ズーム全域で最短撮影距離0.7mを実現、風景や望遠マクロ撮影など幅広いジャンルに対応します。
IP53[※]相当の防塵・防滴性能搭載。

※当社の防塵・防滴対応カメラと組み合わせたときに性能を発揮します。

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