掲載日:2021年12月20日
2009年、OLYMPUS PEN E-P1が発売されて以来、使い続けているからOLYMPUS PENとの付き合いは長い。OLYMPUS PENシリーズ、PEN Liteシリーズ、PEN miniシリーズ、PEN-FなどいろいろなOLYMPUS PENを使ってきた。
今回手にしたOLYMPUS PEN E-P7は、歴代のOLYMPUS PENをグッと凝縮したような機種だと思った。
デザインのカッコよさはありつつ、可愛らしさも備えている。そして軽い。OLYMPUS PEN-Fに搭載されていたプロファイルコントロール機能も搭載されている。
私はOLYMPUS PEN E-P7を持って、長崎はハウステンボスへと向かった。
長崎までの旅程は天候の都合により電車で行くことになった。新幹線で新鳥栖まで向かい、そこからハウステンボスへの特急へ乗り換える。下調べなく向かったため、ホームに入ってきた特急「ハウステンボス」のオレンジ色の姿を見てテンションが上がった。
OLYMPUS PEN E-P7は小さく、軽い。カメラとして見た目の威圧感もないので、撮影中も周りを気にすることなく撮影に集中することができる。私は、何か面白いものを見つけると同じ場所で長時間構えて撮影することが多いため、小型軽量ボディということはとても助かる。
子供の頃以来のハウステンボス。1度か2度は来たことがあるはずなのに昔の記憶はほとんどなく、新鮮に楽しめた。
撮影の時はたくさん歩く。まずは場内全体を把握したいので、地図を見ながらハウステンボスを1周する。気になるものがあれば直ぐに撮影できるようにするため、私はハンドストラップを使うことが多い。OLYMPUS PEN E-P7にハンドストラップを装着し、手首からぶらさげて場内を歩きまわった。ここでも軽さは有利だ。
木で出来たチューリップの花を片手に持って、ハウステンボスを散策する。ボディが小さく軽いため、気軽に遊びながらの撮影を楽しめる。
またチルト可動式の液晶モニターを活用することによって、色々なアングルで構図を作ることができ、高い位置からのハイアングル撮影やローアングルでの撮影なども無理な姿勢にならなくても撮影することができる。ハイアングルやローアングル撮影時はカメラと体が離れるため、太陽の光や逆光など、光が液晶画面に当たり見えにくくなる時があるが、その際は片手で光を遮ると良い。
テーブルに差し込む光を取り入れるため、手を伸ばし真上から撮影した。ハイアングルから見るとそれぞれの形が見え、デザイン的に捉えられる。液晶モニターを見ながら無理なく撮影ができるので、構図もしっかりと狙える。
OLYMPUS PEN E-P7には「カラープロファイルコントロール」、そして「モノクロプロファイルコントロール」機能がある。アートフィルターほど大胆な色付けを求めてはいないが、少し自分なりに色付けをした作品を作りこみたい。そんな時には、撮影体勢のままレンズ横にあるレバー(プロファイルコントロールスイッチ)を右手薬指でカチッと切り替えると簡単にプロファイルコントロール機能のスイッチを入れられる。
カラー/モノクロ共に4つのプロファイルがあり、デフォルトのままでも、プリセット登録がされているのでそれぞれの設定で楽しむことができる。そのまま使っても良いし、自身で設定を変えることもできる。まずはそれぞれのプロファイルがどのような特徴を持っているのか、全体の設定を確認しておくことをお勧めする。そうする事で撮影するときに迷わず選択ができるようになる。
プロファイル設定の詳細は「クリエイティブな写真表現 E-P7」を参照ください
カラープロファイルコントロールで調整が可能な項目は、【12色の彩度調整】【ハイライト&シャドウ】【シェーディング】の3つ。
【12色の彩度調整】
全色一括で彩度を調整することもでき、1色ずつ彩度を調整することもできる。それによって、好みの色彩で仕上げることができる。
【ハイライト&シャドウ】
晴天下での明暗のコントラスト差が大きいところを捉える撮影など露出が難しい時などに活用すると、思い通りのコントラストを得ることができる。
【シェーディング】
私はあまり使用する機会はないが、周辺にいらないものがある時などに活用すると、見せたくない・目立たせたくないものの印象を抑えることができる。
プロファイルコントロール機能を活用すると、PCでの処理を挟まず、その場で自分の思いの形に近づけることができる。撮ったものを即座にどこかにUPしたいという場合などにはとても便利な機能だ。もちろん最終的にはRAWデータからの現像で作り上げるとしても、その前にどのような雰囲気でイメージを作れるのかを掴むには活用ができるだろう。
夜のショーウィンドウ。スポットライトのように光が当たっているので、上のバラを見せようと思うとライトの当たっている部分が白く飛んでしまう。【ハイライト&シャドウ】を調整し、ハイライト-6,シャドウ+5にすることで明暗のコントラスト差を少なくして撮影。
モノクロプロファイルコントロールも大きく3つのコントロールができる。【カラーフィルター効果】【ハイライト&シャドウ】【シェーディング】だ。基本的にはカラープロファイルコントロールと同じことができ、【12色の彩度調整】が【カラーフィルター効果】に入れ替わっただけだ。そして、スーパーコンパネの画面にいくと、【粒状フィルム効果】【調色】の設定も可能になる。
OLYMPUS PEN-Fにも搭載されている【カラーフィルター効果】は8色のカラーフィルターとそれぞれ3段階の強弱を選べ、モノクロ表現の選択肢を広げている。モノクロフィルム撮影時、コントラストの調整などのためにカメラ前に付ける事がある「赤・オレンジ・黄色・緑」のフィルター。従来のOM-DシリーズやPENシリーズでもピクチャーモードをモノトーンにすると上記と同様の効果を得られる同色のカラーフィルターを使用できるが、この【カラーフィルター効果】はそれ以外の色を選択できる事が新鮮で面白い。
最初はカラーで撮っていたが下のチェック柄をもう少し目立たせたいと思い、モノクロにした。赤い壁をできるだけ暗く落としたいと思ったため、モノクロプロファイルコントロールのカラーフィルター効果で緑色を選択。赤を暗く表現し、画面にコントラストをつけている。
「モノトーン」設定で撮ると空が白くなり、天気の良さがあまり感じられない。モノクロプロファイルコントロールのカラーフィルター効果で赤色のフィルターを使用することにより空が濃くなる。それにより晴天時の空の青さを感じられる。
もちろんOM SYSTEMならではの豊富で個性的なアートフィルターや、多重露出も楽しめる。日常とは少し違った雰囲気を表現するにはどちらも楽しい選択肢だ。
今回の撮影ではM.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PROを多用した。絞り値開放でF1.4が使え、防塵・防滴にもかかわらず軽量で、OLYMPUS PEN E-P7にもマッチする。
画角は標準レンズに近いが、心地よい広さを持っている。そして、高い描写力を持ち、その上美しいボケを生かせるレンズだ。広角レンズになるとボケを作りたいと思った時には一定の条件が必要となってくるが、このレンズではあまり条件を意識しなくてもボケ表現を楽しむことができる。一つは広角レンズに比べると焦点距離が長いこと、そして絞り開放値F1.4が使えるという事だ。また最短撮影距離が25cmなので、被写体に近寄れることも大きな一因だ。
建物など大きくて広い被写体全体を写したいと思ったら、自身が少し下がって距離を取ると良い。その上で印象的に見せたい被写体部分に寄れば、遠近感を生かした表現ができる。手前にあるクリスマスの飾りが面白くボケてくれた。
引けば広く広角レンズ的な絵が得られ、近寄ってボケを生かせば望遠レンズ的な画も得られるレンズ。場内の広大な雰囲気を写したり、被写体に思い切り近寄ってボケを楽しんだりと、このレンズ1本でハウステンボスでの撮影を充分に楽しむことができた。
絞り値開放でF1.4が使えるので暗い場所でも低いISO感度で撮影できるのが嬉しい。また、OLYMPUS PEN E-P7に搭載されている強力な5軸手ぶれ補正もあり、夜の撮影や室内での撮影も安心して手持ちでの撮影を楽しむことができる。
真っ暗な室内で大画面でのショーを見ていたシーン。めくるめく動く映像の動きを止めたいという思いと、大画面液晶のドットは見せたくないからそこはボケて欲しいという思い。手前の人物にピントを合わせ絞り値F1.4で撮ることで思い通りの表現とすることができた。
M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PROの1本だけに絞って場内を歩いていても、撮れるものがたくさんある。街並みのショーウィンドウ、キラキラするガラス細工、お花や食べ物。シャープにも、ソフトにも表現してくれ、足を動かせばいろいろなものが素敵に撮れるレンズだ。
例えばテーマパークに行くとなると、おそらく誰かと一緒に行くことが多いだろう。
そうすると、やはり遊びたい。
遊びたいけど、きれいに写真も撮りたい。
きれいに写真は撮りたいけど、できるだけ機材は軽く行きたい。
軽くても自分の思い通りの写真が撮りたい。
人はわがままなものだ。
今回のOLYMPUS PEN E-P7と、M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PROの組み合わせは、そんなわがままを聞いてくれる機材だったと思う。
※35mm判換算 焦点距離