荷物の軽さや小ささ、それに対しての性能や快適さがトレードオフの関係にあるのは山道具の常。
カメラの場合、山で使うことを考えると「携行性」と「画質」がとくに気になるが、それを高い次元で両立し、
ちょうどいいパートナーとなってくれるのが、このミラーレス一眼カメラ「OM-D E-M5 Mark III」だ。
文:PEAKS編集部/写真:秦 達夫、落合明人、網野貴香
近年は画質の向上が著しいスマートフォンのカメラ機能だが、まだ“本家”に比べるとそのレベルの差は歴然。だからといって、一眼レフカメラだと、ボディーとレンズでかなりの重量とサイズになってしまう……。その間を埋め、軽量ながら高画質を実現してくれるのがミラーレス一眼カメラ。この分野で製品開発を続けてきたオリンパスの自信作が「OM-D E-M5 Mark III」である。山を舞台に活躍する写真家の秦達夫さんも、このカメラを愛用中だ。
「ボディーとレンズのシステム全体で軽量、コンパクトにできるのが大きなメリットですね。また、手ぶれ補正が強力なので、三脚を使わなくても撮れるシーンが多く、高画質の写真が撮影できます。あと防塵・防滴なので、どうしても扱いが雑になってしまいがちな山中でも壊れにくいという安心感も。いつもバックパックのショルダーハーネスにカメラを取り付けて歩いているのですが、サッと出すのも苦にならないサイズと重さで、シャッターチャンスを逃しにくいというのも、非常にありがたいですね。」
写真家
秦 達夫
1970年、長野県生まれ。写真家・竹内敏信氏に師事したのちに独立。地元・遠山郷の「霜月祭」を撮影した「あらびるでな」で第八回藤本四八写真賞を受賞。近年は山での撮影も多く、さまざまな作品を発表し続けている。
SCENE.1
山を飲み込んでいく雄大な雲に心動かされ撮影。写真だと単調に見えがちな雲にもしっかりと解像感が感じられる。「甘くなりがちな画面周辺までしっかり描写してくれるので、安心してシャッターが切れます。あと、機材がコンパクトで、稜線まで長い登りが続く北アルプスのような縦走登山などでも持ち歩きがラクですね。」
SCENE.2
明るく変化した部分のみを合成する機能「ライブコンポジット」で撮影。全体が明るくなりすぎてしまうような長時間撮影も思いのまま。「個人的にはオリンパスカメラの最大の魅力と感じている機能です。街の明かりなどに影響されることなく、星の軌跡を簡単に撮影できるので、だれでも星空写真家になれてしまいます。」
SCENE.3
休憩中に足元に雫をまとったチングルマを発見。ファインダーではなくライブビュー機能を使って、低めのアングルで撮りました。レンズ全体の最短撮影距離が短く、接写が得意なのも見逃せないポイント。14-150mm(35mm換算で28-300mm)の焦点距離を持つキットレンズであれば、広角から望遠まで幅広くカバーしてくれる。
モニターの角度が自由に動かせるバリアングル液晶となっており、ローアングル撮影もこのようにモニターで確認しながらラクに撮れる。ハイアングル、自撮りの際などにも活用できる。
ボディーだけでなくレンズも含め軽量コンパクトなので、持ち運びやすく、パッキングにも影響が少ない。重量はボディーのみ(バッテリー等を含む)で約414g。キットレンズ込みで約700g。
雨が降ってきたり、風で土埃が舞ったりと、どうしても山では過酷な状況に遭遇しやすいが、防塵・防滴仕様となっているので、故障の心配が少ない。耐低温性にも優れ、雪山にもピッタリ。
ボディーに内蔵された5軸の手ぶれ補正ユニットが高い効果を発揮。最大5.5段分の手ぶれ補正が効くので、夕方のような暗いシーンにも強い。レンズを選ばず恩恵を受けられるのもありがたい。
名機「OM-1」譲りのクラシックなデザインも◎
OM-D E-M5 Mark III 14-150mm II レンズキット/価格:オープン価格
ミラーレス一眼「OM-D E-M5」の最新モデル。高画質ながら、軽量コンパクトで、さらに防塵・防滴性能なども備える。ファインダー部分の「デルタカット」など、かつての一眼レフカメラの名機「OM-1」からインスパイアされたデザインも秀逸。
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