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飽くなき挑戦で
世界最高の手ぶれ補正を実現
どんなシーンでも手持ちで撮れるように

竹内 寿

メカ制御技術部
部長

世界最高レベルの手ぶれ補正技術で手持ち4秒が可能に

E-M1Xはボディー単体でも7段、ED 12-100mm F4.0 IS PROと組み合わせると、2019年2月現在、世界最高の7.5段という手ぶれ補正効果を発揮します。具体的には手持ちで何秒までの撮影が可能になると考えていいですか。

竹内:手ぶれ補正7.5段というのは、手ぶれ補正機能をオフにしてギリギリぶれないシャッタースピードから7.5段分遅いシャッタースピードでもぶれないという意味です。これは、CIPAという国際的な業界団体が定めた規格に則って算出した数値です。では、具体的に何秒まで手持ちでの撮影が可能かと言われると、この規格の上からは個人差があるので回答できない、となります。ただ、それでは実感としてわかりにくいので、今回のボディーとレンズの組み合わせについては、焦点距離40mm(35mm判換算80mm)で手持ち4秒までぶれないという言い方をしています。これは自社評価基準での数値になります。

シャッタースピード4秒となると、動かない被写体ならかなり暗い状況でも大丈夫ですね。

竹内:従来に比べてかなり暗いところでも手持ち撮影できるようになると思います。また、明るいところでスローシャッター効果が得られる「ライブND機能」というものがこの製品では搭載されていますが、その機能を使って長秒手持ち撮影も可能です。

上下と左右の角度ぶれが支配的要因

現在、ボディー側の手ぶれ補正は5軸ですが、その内容を教えてください。

竹内:ピッチと呼ばれる上下の角度ぶれ、ヨーと呼ばれる左右の角度ぶれ、シフトと呼ばれる上下および左右の平行移動ぶれ、ロールと呼ばれる回転ぶれの5軸になります。このうちピッチとヨーの2軸が、手ぶれの支配的要因となります。CIPAの規格も、これら2軸での評価です。5軸では公式の評価基準がありません。オリンパスは2012年に世界で初めて5軸手ぶれ補正を採り入れましたが、主軸となるピッチとヨーに3軸を加えたのは、すべてのぶれを取り除きたいと考えたからです。例えば、マクロ撮影するときはシフトぶれ補正すると効果がありますし、動画撮影ならロールぶれ補正が効果を発揮します。ただ、最近はちょっと意味合いが変わってきました。

手ぶれ補正ユニット

と言いますと?

竹内:手ぶれの補正技術が上がってシャッタースピード4秒といった長秒撮影ができるようになると、それまでは気にならなかったシフトぶれやロールぶれが通常の撮影でも見えるようになってきたのです。
技術が進歩したことで、今までマクロや動画といった限定された撮影でしか効果が見えなかったものが、一般的な撮影シーンでも効果が得られるようになってきました。

オリンパスのレンズには、レンズ自体が手ぶれ補正機能を持っているものもあります。ボディーとレンズを組み合わせたときは、どのような補正を行っているのですか。

竹内:これまでに発売した2本の手ぶれ補正付きレンズはピッチとヨーの2軸で補正しています。特定のボディーとレンズを組み合わせたときは、この2軸については両者が協調して動作し、残りの3軸はボディー側の機能が動作します。これを5軸シンクロ手ぶれ補正と呼んでいます。2軸を協調動作させる目的は、補正範囲の拡大です。協調動作させることで、ボディー単体・レンズ単体での補正性能よりも大幅に性能を向上させることを実現しています。

5軸シンクロ手ぶれ補正

モーターとセンサーの進歩が性能向上の要因

そもそも手ぶれ補正はどのように行っているのか、基本的な仕組みを教えてください。

手ぶれの「検出」と「補正」という2つの処理に分かれます。検出処理では、ジャイロセンサーで角度ぶれ、加速度センサーで平行移動のぶれを検出します。そこで検出したぶれに応じて補正量を決定します。補正処理では、ボディーはイメージセンサーを、レンズは補正用のレンズを動かして行います。

過去の製品からどんどん性能が上がっていますが、それはどのような要因によるのですか。

竹内:大きなところでは、モーターとセンサーの進化です。モーターについては、ずっと昔は超音波モーターやステッピングモーターを使っていたのですが、E-M5からはボイスコイルモーターを使っています。動かす範囲はあまり変えていないのですが、駆動のパワーや精度が向上しています。回転ぶれの補正ができるのも利点です。

E-M1Xのジャイロセンサーは部品メーカーとの共同開発ということですが、いきさつを教えていただけますか。

竹内:ジャイロセンサーメーカーであるセイコーエプソン様と、4年ほど前に会合を持ちました。そこで、「我々は手ぶれ補正技術ではカメラメーカーの中でトップレベルだという自負がありますが、現状に満足しているわけではない。シャッター速度4秒まで手持ち撮影を可能にし、手持ちで夜景や星空が撮影できるという新しい価値を提供していきたい」と話し、次世代のジャイロに求める仕様をお見せしました。すると、まず「これは光ファイバージャイロのスペックですね」と言われました。飛行機やロケットにはもっと大きくて高性能な光ファイバージャイロが使われています。機体を数千キロ飛ばすので、わずかな誤差も許されないのです。それを従来と同じサイズの小さなジャイロセンサーで実現しようとしたのです。難しいお願いに挑戦していただき、我々も開発に加わって3年がかりでようやく完成しました。

手ぶれを検出するジャイロセンサー

ジャイロは評価ができないほどの性能

光ファイバージャイロのレベルが実現したと考えていいわけですか。

竹内:そこまで言っていいのかはちょっとわかりませんが、これまでとは桁が1つ違うジャイロになったのは間違いありません。
それだけに、ジャイロが持つ性能を引き出して、7.5段を実現するにあたっては、言い知れぬ苦労がありました。簡単にまとめると、ハードウエアとファームウエアを変えて、アルゴリズムをチューニングしたという表現になるのですが、そんな一言では片づけられません。

どんなことがあったのですか。

竹内:まず、評価ができないという問題が起きました。もちろん、ジャイロの評価方法は確立しています。ところが、カメラに搭載して評価すると、昨日と今日で結果が違う。午前と午後の評価も違ってくるということが起きました。ジャイロは免震構造の建物内では正確に評価できないので、我々は専用の実験室を持っています。ところが、それだけでは正確に測れないほどの精度であることがわかってきました。結局、専用治具を作って、特別な評価装置を用意することで評価が可能になりました。想像もしていなかったことだったので、正直驚きました。

ほかにも、想像を超えるようなことがあったのですか。

竹内:製造上の問題も出てきました。時間の経過によって、ジャイロの特性がゆっくりと変わっていく個体が出てきたのです。
詳しく検討すると、どうも組み立て方に起因しているらしいことがわかりました。従来ならまったく問題にならない次元の小さな違いが、ジャイロの品質に影響を与えるのです。性能としては、6.5段から7.5段に1段分上がっただけですが、そこに到達するには評価から製造工程まですべて変えていかなくてはならなかったわけです。

どんなシーンでも手持ち撮影できるように

今後、手ぶれ補正技術はどこまで進化していきますか。

竹内:我々は、「どんなシーンでも三脚なしで手持ち撮影できるようにしたい」という想いで技術開発を進めています。手ぶれ補正の技術はメカ・電気・光学・ファームウェアの技術が関係しているだけでなく、評価や製造の技術も必要とします。技術の進化はそのどれが欠けてもできるものではなく、これまでもこれからも関係部署が一体となってさらに進化させていきたいと思います。

※所属、役職は2019年3月現在

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