掲載日:2020年9月4日
私がOM-Dシステムと出会ったのは、2019年11月から12月にかけてオリンパスプラザ東京/大阪で開催された『「Women's Eyes」- 4名の女性写真家によるOM-D自然写真展 -』に参加したことがきっかけです。
今まではフルサイズ一眼レフカメラを使っていたので、ミラーレス一眼カメラを使っての撮影は初めてでした。OM-D E-M1シリーズを使ってみて最初に驚いたのが、視野率100パーセントの電子ビューファインダーがとても見やすいこと、そして小型軽量でフットワークが軽くなったことです。
風景写真では軽登山や渓流など足場の悪い所も多いので、軽いのはとても助かります。さらに強力なボディー内手ぶれ補正によりキレの良いシャープな描写力にも驚き、手持ち撮影の機会が増えました。一方、三脚でしっかり撮影したいときにはハイレゾショットを使うことで5000万画素相当のより高解像な画像を得ることもできます。
夜の撮影ではライブタイムやライブバルブなど背面モニターで確認しながら撮影できるミラーレス一眼ならではの機能があるので、失敗がなくなりました。風景写真は想像以上に厳しい環境下での撮影も多く、優れた防塵・防滴性能を備えているのも安心です。
このようにOM-D E-M1シリーズは風景写真に必要な機能を多彩に兼ね備えるとともに小型軽量による圧倒的な機動力を誇るカメラです。このカメラを使い始めてから私の撮影スタイルは大きく変化し、また表現の幅も広がりました。今では撮影には欠かせない信頼のおける相棒となっています。
河津桜を手持ち撮影。
手前に枯れた枝を配し、桜にピントを合わせることによって影、桜、山並みと遠近感を出しました。日中撮影のため、ISO感度を上げずにシャッター速度を稼げるので、手持ちで動きながらアングルを変え撮影することで、バリエーション豊かな作品を生みだすことができました。
何気ない滝でも試しにレンズを逆光に向けて、手持ちで撮ってみることで発想が膨らみました。
滝の流れを線に、レンズについた水滴を玉ボケにして滝の臨場感を表現してみました。線(滝の流れの軌跡)の長さはシャッター速度で調整し、玉ボケの大きさは絞りで調整しています。滝の水しぶきを浴びながらの撮影となりましたが、防塵・防滴性能により安心して撮影に集中することができました。OM-D E-M1シリーズの「機動力」が作品力を高めてくれた1枚です。
雨上がりや湿度が高い早朝にはチカラシバの穂に水滴が付きキラキラ輝きます。
『「Women's Eyes」- 4名の女性写真家によるOM-D自然写真展 -』のときに大判展示した作品ですが、ハイレゾショットを使うことによって、プリントでもチカラシバの穂の毛並みを1本1本繊細に描写してくれました。また日の出前の空気感がフィルムのような色で再現されました。
夜明け前に西の空に沈む満月と桜を撮影した作品です。
ライブタイム機能を使って撮影しました。桜に懐中電灯で光をあて、背面液晶モニターで効果を確認しながら撮影することで、イメージ通りに光の効果を入れて作品に仕上げることができました。
滝の裏側からの撮影。明暗差が大きいシーンなので、暗部がつぶれてしまうことが多いですが、シャドウからハイライトまでの階調のつながりの素晴らしさに驚きました。
ここでも水しぶきを浴びながらの撮影でしたが、防塵・防滴性能があるので安心して納得のいく撮影ができました。
M.ZUIKO PROレンズシリーズはカメラボディーと同様に小型軽量なシステムであり、圧倒的な描写力と美しいボケ感が得られ、風景写真で必要なパフォーマンスを兼ね備えた最高峰のレンズです。さらに保護等級IPX1相当の信頼ある防塵・防滴・耐低温性能をもった高性能レンズが揃っているので、過酷な撮影環境にも対応してくれます。
またカメラ側には強力なボディー内手ぶれ補正機能を搭載しているため、すべてのレンズで手ぶれ補正の恩恵を受け、手持ちでも安心して撮影に集中することができます。
風景写真は、柵やロープなどによって撮影場所が制限されることが多いため、幅広い焦点域を持つズームレンズがあると便利です。
私は主に「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」と「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」、「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」の3本を使用しており、この3本を合わせると14㎜(35mm判換算)の超広角域から300㎜(35mm判換算)の望遠域まで網羅されます。またM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROレンズは、M.ZUIKO DIGITAL 1.4x Teleconverter MC-14のテレコンバーターを使うと420㎜(35mm判換算)、M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20のテレコンバーターを使えば600mm(35mm判換算)の望遠域まで撮影可能になります。3本のレンズともに最短撮影距離が短いので、マクロ的な小さな風景から広大な風景まで撮影できるのもメリットです。
焦点距離24mm(35mm判換算)の広角域から200mm(35mm判換算)の望遠域までをカバーする高倍率ズームレンズなので、ほとんどの風景撮影が1本でまかなえる便利なレンズです。また、高倍率ズームとは思えないほど解像度も高く、シャドウからハイライトまでの階調のつながりの素晴らしさには毎度驚くばかりです。
刻々と変化する気象条件の中、高倍率ズームのおかげで、レンズ交換をする手間を省くことができ、最高の瞬間を撮り逃すことも少なくなりました。早朝の空気感をヌケの良い描写力と、シャドウからハイライトまでの階調のつながりが素晴らしいです。
F2.8の明るい絞り値のまま80mm(35mm判換算)から300mm(35mm判換算)の焦点距離をカバーし、驚異的な解像力とやわらかなボケが美しく描写されるのが特長です。
満開の梅林で幻想的な霧の情景を捉えた後、まだ霧が残っていたため、素晴らしい光芒に出合えました。太陽を入れたフレーミングでもゴーストやフレアが発生することなく描写され、逆光にも強いレンズと言えるでしょう。
このレンズはPROレンズではありませんが、2020年9月11日に発売するレンズで発売前に使う事ができたので紹介します。望遠端で800mm(35mm判換算)までの超望遠域の撮影が可能になります。さらにM.ZUIKO DIGITAL 2X Teleconverter MC-20のテレコンバーターを使うことで1600mm(35mm判換算)まで撮影することが可能で、いままで諦めていた被写体にも挑戦できそうで楽しみなレンズです。
新緑の木をポイントに水の模様を描いた作品です。堰堤の水の流れをシャッター速度を調整して止めることで模様のように描写されました。望遠端800㎜(35mm判換算)によって木の枝ぶりが綺麗な部分だけをピンポイントで切り取りました。
M.ZUIKO PRO レンズシリーズにはF1.2の明るい単焦点レンズなどまだまだラインナップが沢山あり、ホタル撮影や星空撮影にも今後挑戦したいと思っています。
2020年2月に発売され、従来のモデルより飛躍的に進化を遂げたOM-D E-M1 Mark III。
OM-D E-M1 Mark IIと比べて、見た目のデザインはそれほど変わっていないため、違和感なくなく引き継ぐことができました。
まず操作性で最も嬉しかったのが、従来の十字ボタンに加えてマルチセレクターが搭載されたことです。ピント合わせの際に、素早くAFターゲットを移動することができ、またメニュー画面などの操作でも活用できたいへん便利になりました。
次に機能面ではM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROとの組み合わせにより最大7.5段の手ぶれ補正を実現しており、より安心して手持ち撮影することが可能になりました。OM-D E-M1 Mark IIでは三脚ハイレゾショットのみでしたが、OM-D E-M1 Mark IIIでは画像処理エンジンも進化し、手持ちで撮影できる手持ちハイレゾショットも可能になりました。これにより三脚の使用が禁止されている場所や足場の悪い場所でも、手持ちで5000画素相当の画像を得ることができます。
さらに新しい機能となるのが、ライブND。これは、レンズにNDフィルターを装着して撮影したときと同じスローシャッター効果が得られる画期的な機能です。効果の段数はND2(1段分)~ND32(5段分)の5段階で、何枚ものフィルターを持たなくて済みます。また、スローシャッター効果を撮影前にファインダーで確認できたり、M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROレンズのような、フィルターを装着することが困難なレンズでも、ライブND機能を使ってND効果を使った撮影をすることができるのでとても便利です。うっかりNDフィルターを装着し忘れたり、着脱の手間や破損などでシャッターチャンスを逃してしまうといった苦い経験は誰しも覚えがあるかと思いますが、カメラ内にフィルター機能が備わっていることで、そのような失敗を防ぐこともできます。
このように風景写真に便利な機能が搭載されたOM-D E-M1 Mark IIIの登場で、さらに機動力が向上し表現の幅が広がりそうです。
ミツマタの群生地で撮影をしていると、気温が低かったせいか小雨から淡雪に変わりました。しばらくすると地面や森の木々に雪が薄っすら積もり始めました。超広角レンズでミツマタに接近し、三脚ハイレゾショット機能を使って撮影することで、雪の情景とミツマタの花が繊細に描写されました。
淡雪のミツマタを撮影した翌朝、まだ前日の雪がミツマタの花に綿帽子のように残っていました。ミツマタの花は下を向いているので、手持ちで下から見上げながら背景が黒くなるように注意して撮影しました。絞り値F4.0の柔らかい背景のぼけとともに雪の質感までしっかり描写されているのには驚きました。
初夏の蓮池で特徴的なデザインの葉っぱを見つけました。雨が降っていて傘を差しながらの撮影だったので5000万画素手持ちハイレゾショット機能を使っています。超望遠でも手ぶれを気にする必要のないシャープな描写力にとても満足しています。
早朝に霧が出ることを想定して行ってみると、予想通りの霧が朝陽に染まるドラマチックな情景に出合えました。一本の木に太陽を入れながら、光が強くならないよう立ち位置を調整しフレーミングしました。霧のトーンがとても柔らかく描写されています。
梅林での撮影後の帰り道、陽が射し込み前日の雨で濡れた畑から蒸気が発生していました。即座にカメラを構えて、手持ちで撮影。梅の木を背景に入れて季節感をだすように撮影しました。こういう場面は三脚をセットしているうちに蒸気が消えてしまうことがほとんどなので、OM-Dの機動力によって生まれた一枚と言えるでしょう。
滝の流れをスローシャッターで表現するのに、NDフィルターが必要だったので、搭載されているライブND機能を使って撮影しました。ファインダー内でライブNDによるスローシャッターの効果を事前に確認しながらND16に設定して撮影しました。この機能は水の流れだけでなく雲の流れなど様々なシーンで応用できそうです。
他の追随を許さない機動力と信頼性でプロ写真家から絶大な支持を得ているプロフェッショナルモデルOM-D E-M1シリーズ。強力な手ぶれ補正機構と新画像処理エンジンTruePic IXを防塵・防滴・耐低温構造の小型軽量ボディーに搭載し、さらなる高画質撮影が可能になりました。シーンや被写体を選ばずに、あらゆる場所や環境下で思い通りの撮影を実現します。