写真家 コムロミホ × M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PROファーストインプレッション

掲載日:2021年11月4日

コムロ ミホ

文化服装学院でファッションを学び、ファッションの道へ。
撮影現場でカメラに触れるうちにフォトグラファーを志すことを決意。アシスタントを経て、現在は広告や雑誌で活躍。街スナップをライフワークに旅を続けている。カメラに関する執筆や講師も行う。
またYouTubeチャンネル「写真家夫婦上田家」「カメラのコムロ」でカメラや写真の情報を配信中。

デジタル一眼カメラ

OM-D E-M5 Mark III

デジタル一眼カメラ

OLYMPUS PEN E-P7

交換レンズ

M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO

M.ZUIKO PROシリーズに新たなラインナップ

M.ZUIKO PROシリーズに、「M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO」という焦点距離40mm相当[※]の単焦点レンズが追加になった。
PROシリーズの単焦点レンズといえば、絞り開放からピント面をシャープに解像し、とろけるような美しくにじむボケを両立した描写力の高いレンズになる。
PROシリーズとPREMIUMシリーズに近い焦点距離の単焦点レンズをラインナップするが、PROシリーズは高い描写力と防塵・防滴性能を兼ね備え、F1.2という明るさを実現。

そして、F1.8のPREMIUMシリーズは軽量コンパクトながらもシャープに表現し、小型なPENシリーズとも相性がいい。
スナップをメインとする私にとって単焦点レンズは必須アイテムだが、スナップに使い勝手のよいM.ZUIKO DIGITAL 17mmと25mmはPROシリーズとPREMIUMシリーズの両方を持っている。
街のディテールや被写体の美しさを最大限に引き出したいときは、できる限り描写力の高いPROシリーズを使用し、機動力を生かして身軽にスナップするときはPREMIUMシリーズという使い分けをしている。

こういう使い分けをしていると、「F1.2から少しF値が暗くなってもいいから、PROシリーズの描写力とPREMIUMシリーズの軽量コンパクトを兼ね備えたレンズがほしい」と思うようになっていた。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/40mm相当[※]/1/8000秒/F1.4/ISO 200/-0.7EV

待ちに待ったレンズ

OM-D E-M5 Mark IIIとの組み合わせ

OLYMPUS PEN E-P7との組み合わせ

前置きが長くなってしまったが、PROレンズとPREMIUMレンズの良さを合わせたような「M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO」は待ちに待ったレンズなのだ。
従来のPROレンズに搭載されているAFとMFを切り替えるマニュアルフォーカスクラッチ機構はなくなるが、その分全長が短くなり、重量247g(レンズキャップ、レンズリアキャップ、レンズフードを除く)とPROシリーズの単焦点レンズとしては圧倒的に軽い。
愛用しているPEN E-P7のようにコンパクトなカメラに装着してもバランスがいいのが嬉しい。PROレンズらしく高級感のある外装で、撮影するモチベーションも上がりそうだ。

40mmという絶妙な画角

なんといっても焦点距離40mm相当[※]での撮影を楽しめるのがこのレンズの魅力だろう。標準の焦点距離50mmよりも少し広角だが、広すぎない絶妙な画角で、スナップやポートレートなどさまざまな被写体で活躍するレンズになるだろう。
メインの被写体だけでなく、背景を程よくフレーミングでき、広角単焦点レンズのM.ZUIKO DIGITAL 17mm(35mm判換算34mm相当)よりも広角感がないため、自然な遠近感を得ることができる。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/40mm相当[※]/1/2000秒/F1.4/ISO 200/+0.3EV

スナップやポートレートを撮影するときに大切にしているのは、被写体の見え方や表情だけでなく、背景をどうまとめるのかということ。本レンズを使用していると、被写体だけでなく、背景との関係性を考えながらフレーミングするため、いつも以上にそのシーンにのめり込みながら撮影をすることができる。標準よりも少し広いため、撮影してみると少し難しいと感じるかもしれないが、この絶妙な画角に慣れてしまうと手放せなくなる1本になるだろう。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/40mm相当[※]/1/8000秒/F1.4/ISO 200/+1.0EV

千葉県の沿岸をスナップ

今回は千葉県の海岸沿いをぐるりとドライブしながら撮影を行った。撮影して感じたのは、その場をそのまま写し撮ってくれるようなリアリティーだ。クリアでレンズの抜けがいいため、海の質感や水の透明感がそのまま写ってくれている。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/40mm相当[※]/1/20000秒/F1.4/ISO 200/+0.3EV

水面の滑らかさや光の美しさを引き出してくれるのがおもしろくて、気づけば靴を濡らしながら撮影に没頭していた。波の水しぶきや、潮、砂などレンズに悪影響を及ぼすようなシーンでも防塵・防滴性能で、レンズの最前面にはフッ素コーティングが施されているので、安心して撮影を楽しめる。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/40mm相当[※]/1/6400秒/F1.4/ISO 200/+0.3EV

開放絞り値F1.4でぐっと近づいて撮影してみると、砂に潜る落ち葉がキラキラとした宝物のように写る。被写体を引き立てる美しくにじむ大きなボケと、被写体のディテールを最大限に引き出すピント面のシャープさが、何気ない被写体も特別なワンシーンへと表現してくれる。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/40mm相当[※]/1/10000秒/F1.4/ISO 200/+0.3EV

最短撮影距離は25cmで最大撮影倍率は0.22倍相当[※]と、被写体にぐっと寄り大きく写るので、1つの被写体を強調しながら撮影できる。40mm相当[※]という画角は寄ったり、引いたりすることで、被写体と背景の写る範囲が変わるため、さまざまな距離で被写体を撮影してみるとおもしろいだろう。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/40mm相当[※]/1/2500秒/F3.5/ISO 200/-0.3EV

最短撮影距離の25cm付近まで近づきながら撮影を行った。小さなコーヒー豆だが、ここまで被写体に寄ることができる。最短撮影距離付近は被写界深度が浅くなるため、開放絞り値F1.4ではコーヒー豆の断面の一部分にしかピントが合わなくなってしまうので、豆の断面全体にピントを合わせるためにF2.8に絞った。少し絞り込むと、さらにシャープに表現できるため、最短撮影距離付近では少し絞りながら撮影を行った。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/40mm相当[※]/1/20秒/F2.8/ISO 200/-1.7EV

ガトーショコラに緩めにホイップしたクリームを乗せて、テーブルフォトを撮影した。おしゃれな雰囲気を演出するためにアートフィルターのポップアート機能を選んで撮影している。40mm相当[※]というやや広い画角だが、広角レンズ特有の歪みがないため、テーブルフォトや料理の撮影にも使い勝手が良さそうだ。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/40mm相当[※]/1/40秒/F2.8/ISO 200/+0.3EV/ポップアート

とろけるような美しくにじむボケと、ピント面のシャープさを両立し、PROレンズならではの描写力を堪能することができる。ピント面が際立ち、写真に立体感が生まれる。このレンズの面白さを堪能するなら、まずは開放絞り値F1.4で撮影することだろう。被写体を美しく引き立てるボケとシャープさをぜひ楽しんでもらいたい。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/40mm相当[※]/1/800秒/F1.4/ISO 200/0.0EV

そして、少し絞り込むと周辺まで圧倒的な解像感を得ることができる。写真は絞り値F3.5で撮影を行っている。古く劣化した船の質感を引き出してくれて、その場の情景を細かく表現してくれている。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/40mm相当[※]/1/2500秒/F3.5/ISO 200/+0.3EV

潮で劣化した金属の質感を伝えたいと思って、鎖にピントを合わせた。被写体のディテールを最大限に引き出してくれる描写力で、見せたい部分が伝わりやすい写真に仕上げてくれる。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/40mm相当[※]/1/8000秒/F1.4/ISO 200/+1.0EV

撮りたいと思った被写体を自然と引き立てるM.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PROの表現力は、スナップしていて、とても心地がいい。PROレンズならではの表現力と、小型軽量の機動力、40mm相当[※]というユニークな画角、今まではシーンに合わせてさまざまなレンズを使用していたが、このレンズを愛機に付けっぱなしになるくらい、魅力にどっぷりとハマってしまった。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/40mm相当[※]/1/12800秒/F1.4/ISO 200/+0.7EV

真夏の強い太陽をフレーミングしてみても、ゴーストはなく、逆光性能の強さも感じることができる。このあたりもPROレンズならではだろう。どんな状況下でも撮影を楽しめるのは嬉しい。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/40mm相当[※]/1/5000秒/F4.5/ISO 200/0.0EV

前述したように、40mm相当[※]という画角は標準の50mmよりも広く、35mmよりもやや狭いという独特な画角を難しく感じることもあるが、その独特な画角にハマってしまうと、気づけばお気に入りの1本になっているだろう。今回は自宅のある千葉県を中心に撮影を行ったが、旅に出られるようになったらぜひこの1本を持って出かけてみたい。

OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/40mm相当[※]/1/20000秒/F1.4/ISO 200/+0.3EV

※35mm判換算 焦点距離

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OM-D E-M5 Mark III

OM-D E-M5 Mark IIIは、小型軽量と高性能を両立できるマイクロフォーサーズシステムの魅力を最大限に引き出したミラーレス一眼カメラです。圧倒的な小型軽量ボディーにハイエンドモデルに匹敵する画質性能とAF性能を搭載するほか、新開発の強力なボディー内5軸手ぶれ補正機構や、多彩な撮影機能も搭載。

OLYMPUS PEN E-P7

持つ喜びを感じ撮影意欲を掻き立てるカメラ。E-P7はそんなカメラを目指して、端正で洗練されたデザインの小型軽量ボディーに仕上げました。また多彩な撮影機能を持ち、カラー写真もモノクロ写真も自分らしい表現で楽しむことができます。

M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO

高解像と美しくにじむボケを実現した 標準域40mm相当[※]の、小型・大口径F1.4のPROレンズです。風景からポートレート、またスナップ写真にも最適。

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