Volume 3 「男は働き、女は家庭を守る」? 移り変わる役割分担 マイケル・リース:こんにちは、Cultural Crossroadsの6月号へようこそ。マイケル・リースです。 アン・スレーター:アン・スレーターです。今日は男女の役割分担についておしゃべりしますよ。つまり、さまざまな文化の中で、男性と女性が分担する役割のことね。 マイケル:そうだね。 アン:そしてもちろん、今の日本ではそれが大きく変わりつつあるわよね。 マイケル:日本の男女の役割は、アメリカのそれと比べて大きく違うと思う? アン:うーんと、伝統的にはそうだったわね─つまり、仕事のすべてをする男性、それから家庭の外のことについても(男女の役割に違いがあるわ)、家の中のことを担当する女性、という伝統的な役割は、初めて日本に来た時、(アメリカとは)すごく違うように思えたわ。 マイケル:なるほど。 アン:あなたはどう? どう思う? マイケル:うーんと、ほとんど同じだけど、君が言うように、日本に来てみると、例の男女それぞれの役割ってやつが、まだ大体において残っているのに気づくね。それが君のいっていることだよね? アン:ええ、残ってると思うわ。でも私がそのことに(「初めて日本に来た時は」という)条件を付けたのは、状況がすごく変わりつつあって、いわゆる草食系のことが話題になっているでしょう。こうした話題を目にしたことある? ハハハ。草食系男子とか、そう。 マイケル:そうだね。ちょっと聞いたことはあるよ。どういうことだっけ? アン:ええと、私の理解するところによると、いわば、新しいタイプの男性で、なんていうか、「草を食べる」という意味なのよ─ マイケル:なるほど、ハハハ。 アン:……ハハハ、草食系男子というのは、セックスや消費主義─お金を使ったり、物を買ったりすることにあまり興味がないのよね。彼らは家にいる方が好きなの。女性と一緒にいるとして、たとえ女性の家に泊まったとしても、ただ友達みたいに一緒に眠るだけ。それに、お料理が好きで、言ってみれば、すごくのんびりした優しい人なのよね。それで、それが最近の流行のようで、だから(男女の役割は)変わりつつあると思う、って言ったのよ。 マイケル:そうだね、確かに日本では、僕がいる何年もの間にこうした種類の─この国において、根本的なものとして、変えるのが難しいと考えられていた社会の部分が、実際にはすごく柔軟性があって流動的だったりするよね。君の言うように、最近では男らしさ、男性を定義付けるものが変わりつつあるよね。 アン:そうね、その一方で、どちらともいえないと思うの、だって、その一方でこんなおかしな表現があるでしょう、「肉食系女子」。 マイケル:でも幾つかの点で、それって、僕が長い間、日本で見てきたことの延長だよ。というのも、少なくともイングランドでは日本、特に日本女性は、すごく物静かで、すごく受け身だということになっていて、確かに、外面的には本当かもしれない。でもその(文化の)内部では、二人の人間が恋愛関係になる場合、特に日本の結婚生活においては、女性の方が優位を占めていて、この国ではずっとそうだったんだと思うよ。だからある意味で、今の現象は(今までと)同じことで、ただもうちょっと表に出てきたってことなんだよ。 アン:それは面白い意見ね。 (訳:鈴木香織)