Volume 2 働くということ 働くこと アン・スレーター:皆さん、こんにちは、5月号のCultural Crossroadsへようこそ。アンです。 マイケル・リース:マイクです。こんにちは。 アン:また皆さんとご一緒できて、とてもうれしいです。それで、今月は何について話すのかしら? マイケル:ああ、今日は仕事についてだよ。 アン:面白いわね。日本に暮らして、どんなことに気付いた? マイケル:そうだね、日本に来て気付いた最大の違いの一つが、人々の仕事に対する態度だったなあ。日本における仕事について話すなら、ただ単に仕事環境についてだけでなく、もっとたくさんのことをしっかりと見ていく必要があると思うんだ。教育制度全体を見る必要がある、とにかく、(教育制度は)仕事と密接に結び付いているからね。 でも一言で言えば、日本で一番驚いたのは、日本ではたいていの場合─なんというのかな?─ジェネラリスト(万能型人員)と見なされること。教育の仕組みは、人々を特定の職業向けに育成するようになってないんだよ、たいていの場合ね。ところが、イギリスでは、教育を受けていくうちに、常に心の中で、13歳ごろから本当に、自分のキャリアが何になるかに、照準を合わせ始めるんだ。そして教育上の選択は、すべてその特定のキャリアの実現を目指すんだよ。 アン:多分それも理由なんでしょうけど、私が日本で、幾つかの会社について気付いたのは、社員が、こっちの部門からあっちの部門へといった具合に異動させられている、ということなの。しかもまったく違う部署に異動することもよくある。だけどアメリカでは、そんなふうに会社の中で部署を転々とするよりも、配属された部署の中で昇進していくパターンの方が多いでしょうね。 マイケル:そうなんだ、日本の会社は、入社後に自分たちで育成できる人を仲間に入れたいみたい。 アン:そうね、まったくそのとおりだと思うわ。そこで面白いことの一つが、例えば、自分のCV、アメリカでは履歴書に、たくさんのいろんな職歴が載っていても、普通は悪いこととは見なされないの。その人は、会社を転々として、行動的で、新しいことに興味があって、挑戦していることの証しになるでしょう。ところが、私の理解するところでは、日本では多分、遊び半分で、どこか一カ所に落ち着けない、あるいは働いている会社に対して忠誠心がなくてあちこち会社を変えている、とか見られることがよくあるわ。イギリスではどう? マイケル:アメリカの状況とほとんど同じだよ。違う仕事を転々とするのは珍しくない。違う会社、時には違う仕事、まったく別の職種ということもある。(職業人生への)取り組み方を変えるのは珍しくないし、マイナスイメージで見られることもないね、うん。 アン:私が思うもう一つの違いは、すごく昔からある、個人と集団の違いを重視することね。だから、アメリカでは、会社勤めをしていたら、確かにその会社には勤めているけど、それでも会社の中の一個人という感覚がすごく強くあるの。だから…… マイケル:そう。それが日本だと、会社を優先事項として位置付けるよう期待されることがすごくよくある。これがあなたの優先順位です。会社への忠誠心が第一で、家庭は二の次なんだ。 (訳:鈴木香織)