Volume 24 子育てって大変? 子どもと親の学びの過程 アン:外出禁止はどう? あなたたちにはあった? それともなかった? マイケル:いや、僕は─なかった。 アン:なかったの? マイケル:それも、(タイムアウトと同じように)アメリカのテレビの影響で知ってたけど、僕が子どものころには、そういったものはまったくなかったなあ。 アン:そうなのね。 マイケル:特に一般的、というわけではないかな。 アン:外出禁止というのが、どんな意味か、みんなが知っているかどうかわからないけど、外出を禁止されるとか、されている、というのは、ある一定の期間、外に出て友達と遊ぶことができない、というものだったわ。だから、もし何か悪いことをしたら、親はたぶん、こう言うの。「いいこと、1週間、外出禁止よ」ってね。いい? そうすると、学校には行けるけど、真っすぐ家に帰らなくちゃいけない、というわけ。これは実際に、私が子どもだったころに一般的なものだったわ。 マイケル:効果はあったの? 効果的なお仕置きだった? アン:効果のあることが多かったと思うわ。ええ。今は前ほど一般的でないと思うけど、それは、アメリカでは、いわゆる「当然の結果」が重視されているからなのよね。当然の結果というのは、例えば、私があなたの工具箱を使うとするでしょう? いい? あなたが私のお父さんでね? マイケル:ハハハ。 アン:私が父親の工具箱を使って、その後に片付けないとする。金槌(かな づち)やくぎや何もかもを、床の上にそのままにして、どこかに行ってしまうとするでしょう。そして父親が帰ってくると、何もかもすごくめちゃくちゃなわけ、ね? そうすると、この場合の当然の結果は、次回、私が工具箱を使いたいときに使わせてもらえない、ということになるのよ。つまり、(結果が)工具箱に、直接、結び付いているでしょう? 子どもをたたいたり、外出禁止にしたりするのとは対照的に。なぜって、子どもをたたくのはほら、そういう意味では、当然の結果とは見なされないから。 マイケル:なるほど。 アン:たたいても、子どもが片付けについて学ぶことにはならないでしょう? 親になって驚いたことって何かある? 例えば…… マイケル:何もかもだよ! アン:……あなたが─ハハハ! マイケル:実は僕が親になったのは、比較的遅かったんだ。 アン:ええ。 マイケル:最初の子どもが生まれたのは僕が41歳の時で、今では3人(の子が)いるんだ。突然、小さな人間を持つようになったのに取扱説明書が何もない、という感じだった。 アン:ハハハ。 マイケル:「どうしよう?」って感じだったよ。 アン:ハハハ。 マイケル:だから、学びの過程なんだよね─子どもにとってだけでなく、親にとっても。 アン:ええ。 マイケル:うん。思うに、親になる前は、親になることをすごく怖がる人が多い。生活がものすごく変わっちゃう、つらいことが多くなる、って思うんだ。とにかく、うっ、て感じ。それまでよくやっていた楽しいことが、どれも、もうできなくなるってね。でもその一線を越えて子どもを持つと、世界が変わるんだ。そして「おい、これはすごいぞ。確かに僕の生活は変わったけど、いい方に変わったな」って気付くんだ。 アン:そうね、そのとおりだと思うわ。つまり、言っておきたいんだけど、実際には、私が思っていたよりも、(子どものいる生活は)もっとずっと楽しいもの。 マイケル:うん。 アン:そして一つ言えるのは、子どもは、まさにその瞬間に存在するということだと思う。すごく、今を生きているでしょう? 過去のことを考えていたり、未来のことを心配したり、というんじゃないものね? ただその瞬間に存在していて、それがすごく新鮮でいいな、と思うのよ。 さてと、実はもう終わりにしないとね、この、ええと…… マイケル:おっと。 アン:……このトピックはこの辺で。質疑応答のコーナーに移りたいと思います…… (訳:鈴木香織)