Volume 20 日米英の住宅事情 建物の寿命 マイケル:日本の建物は、設計方法(構造)という点で、アメリカのものとはずいぶん違うのかな? アン:そうね、一つ気付いたのは、これはすごく面白い文化的な違いだなあ、といつも強く思うんだけど、日本だと、建物の寿命がだいたい40年ぐらいなんじゃないかしら。 マイケル:うん。 アン:だけどアメリカでは、よく、もっと古い建物が、例えば、ニューヨークではブラウンストーン住宅なんかが買えて、これは築100年か、もっと古いかもしれないけど、価値が下がらないのよ。日本だと、40年たったら、建物は普通、今にも取り壊して建て直されるような感じでしょう。それに対してアメリカでは、価値が上がることがよくあるの。 マイケル:そうだね。 アン:だけど日本では、入居した途端、価値が下がり始めるのよね。 マイケル:うん。イングランドでもまったく同じだよ、その─ アン:アメリカと? それとも日本と? マイケル:アメリカと。僕の出身地は、1930年代に大々的に開発されたんだ。だから30年代の見事なテラスハウス(連続式住宅)がたくさん並んでいるんだよ。今でも残ってるんだ。価値を保ったままね。古いからといって安くなるわけではない。 アン:そうね、多分、(新しい家よりも)もっと高いんでしょう。 マイケル:建物の価値は古さに、まったく左右されないんだ。場合によっては、新しい建物より高かったりする。でも日本だと、君の言うように、物事が急速に変わって、変化がすごく速いよね、特に東京みたいな都市部では。 アン:ええ。それに、新しい物に対して圧倒的に高い評価があるわね。前に住む所を探していたときのことを思い出したんだけど、不動産屋の人が言ったのよ、「ああ、お見せしたい、いい物件があるんですよ。中古の家です」って。「中古の家ってどういう意味ですか?」って聞き返したわ。ハハハ。あなたの使い古しの車みたいな、それとも……? ハハハ。すごく面白いと思ったの。私たちは絶対、住む所をそんなふうに見ないもの。 マイケル:そうだね。 アン:そうでしょう。やっぱり。だから、わかった、前に誰かがそこに住んでいたかもしれないけど、リサイクルショップで見つけたものみたいな意味での使い古しではない、ということよね。 マイケル:うん、そうだね、イングランドでも同じ考え方だよ。だけど日本だと、(前に誰かが住んでいた住居は)中古なんだよ。中古車みたいな、そういうものと同じ感覚なんだね。 アン:さて、家探しと引っ越しについての今月のおしゃべりはこんなところです。皆さんとご一緒できて、とても楽しかったです。今回のトピックや、私たちのおしゃべりを聞いて、楽しんでいただけたでしょうか。今、日本ではまさに引っ越しの季節ですね。 マイケル:そうだね、うん。 アン:そうよね、2月から3月にかけて。 マイケル:だから、リスナーの皆さんも、きっと、多くの人が新しい部屋に引っ越す予定なんじゃないかと思いますが、すごく楽しみですね。 アン:幸運をお祈りしています。 マイケル:本当に。 アン:では、聞いてくださってどうもありがとうございました。皆さんの春が素晴らしいスタートを切れますように。 マイケル:そうだね、本当に。それではさようなら。 アン:さようなら。お元気で。 マイケル:さようなら。 (訳:鈴木香織)