Volume 20 日米英の住宅事情 日本の住まい アン・スレーター:皆さん、こんにちは。今月号のCultural Crossroadsへようこそ。もう3月なんですね。信じられる? マイケル・リース:うわあ、時がたつのは早いね。 アン:アンです。 マイケル:マイクです。 アン:また皆さんとご一緒できて、とてもうれしく思っています。さてマイク、今月のトピックは何かしら? マイケル:うん、今日は賃貸とか不動産とか家とか、そういったことについて話すよ。 アン:重要なトピックね。 マイケル:そうだね。 アン:重要なトピックね。東京に来てから何年もの間に、たくさんの部屋を借りたでしょう。 マイケル:何年もの間に、そうだな、1、2、3、4カ所、いろんなアパートの部屋を4つ、借りたね。でも今は幸運なことに、数年前に、妻と僕は家を買うことができたんだ。そんなわけで、賃貸アパートから持ち家へと住み替えをしたんだけど、これは大きな違いだね。 アン:ハハハ。 マイケル:日本では、それに世界中だいたいどこでもそうだろうけど、部屋を借りた場合、そのアパートの部屋に何かするのに、(持ち家よりも)はるかに神経質になるよね。部屋に傷を付けたくないし、初めにその部屋を見た時と同じ状態でそこを退去できたらいいな、と思う。それにもちろん、それが不動産屋が望むこと、借り主に期待することだ。だから装飾については、(賃貸の)アパートの部屋でできることはすごく限られてる。 アン:だけどアメリカでは、それと反対のパターンをよく見掛けたわ。何でもやりたい放題だって思ってるのよ、自分の持ち家じゃないから、傷とか壁に画鋲(が びょう)を刺すこととか気にしないし、それとか…… マイケル:とにかく…… アン:そう、とにかくやっちゃって気にしないのよ、多分、大家さんもある程度の傷みは予想しているし、といった感じで。 マイケル:じゃあ、そもそも「ああ、あの敷金は戻ってこないだろうからいいや」っていう前提なんだ。 アン:そうそう。日本に来た時にすごく驚いたことの一つは、入居したら、その部屋が家具付きではないこと。 マイケル:そうだね。 アン:アメリカでは、家具なしとはいっても、冷蔵庫とかコンロはあるし、基本的なもの─洗濯機と乾燥機とか─そういった基本的な家電製品はあることが多いのよ。日本では、私が東京で発見したのは、家具なしといったら、まったく何もないことを意味するのよね。 マイケル:まったく何もないよね。 アン:なーんにも。 マイケル:僕が初めて(日本に)来た時、最初にすごくびっくりしたのは、アパートの部屋の中には、こんなに小さなものもあるんだ、ということだったな。最初の部屋は、台所と6畳の和室があるだけだった。それで全部。でも、あっという間に、環境に適応するものだからね。狭いとか広いとかは、(実は)あまり大したことじゃないんだ。 アン:そうね。本当に、そのとおりだと思うわ。それに、時々、アパート(情報)を見ていると、例えば2DKとか3DKというように書かれているかもしれないけど、実際には、ふすま、ほら、あの引き戸があるから、ある意味で、1つの大きな部屋だったりすることがよくあるのよね。 マイケル:確かに。ハハハ、そうだね。 アン:だから面白いわよね。それに一方で、日本のデザインの素晴らしい面だと思うのよ、この流動性のあるところ─ 1つの大きな部屋を作ったり、小さな部屋に分けたりできるところが…… (訳:鈴木香織)