Volume 19 音楽の効用 音楽の素晴らしさとは アン:小学校のころを振り返ってみると、楽器、たくさんのいろんな楽器を音楽の授業で演奏させられたわ。そう、例えば、タンバリンとかね。 マイケル:そうだね。 アン:後は、トライアングル。あなたも演奏させられた? マイケル:トライ─うん、させられたとも。 アン:そうでしょ。多分、演奏するには何らかのこつがあるんでしょうけどわからなくて、ただ、バンバンたたき続けていたの。それから、ほら、何か小さな、いえ、木琴みたいな。ええと、でも、もっと小さな。 マイケル:小さな打楽器だよね。そう、打楽器と、さっき話に出たリコーダーなんかを学校でやった記憶があるな。でも、そんなに面白くなかった。もっと珍しい楽器を取り入れたらいいのに、と思うよ、(子どもたちを)その気にさせるためにも。 アン:太鼓とか。 マイケル:太鼓はとにかくいいよね。僕は太鼓が大好きなんだ。たたきまくるのがね。(ところで、)実は僕、ディジェリドゥーを演奏するんだ。 アン:あら、本当? マイケル:うん、ハハハ、すごくおかしなことにね。 アン:あれは、どうやって演奏するの? その、ディジェリドゥーの曲があるの? マイケル:いいや。ディジェリドゥーは、たった一つの音、高さしかないという点で変わった楽器なんだ。たったそれだけ。だから、どちらかというとリズム楽器なんだと思う。とてつもなく難しい楽器というわけじゃないんだ。音を出すのは結構、簡単なんだよ。ただリズムを生み出すのと、口の使い方、それといろんな音色を出すための喉と息の使い方が(難しくて)。君は、演奏してみたい楽器が何かある? アン:そうね、実はずっとピアノを弾きたいと思っていたの。弾いたことがなくて、今後、弾くかどうかわからないけど。でもずっとクラシック音楽が大好きで、弾いてみたいのよね、例えば、バロック音楽みたいなのを。音楽のすごいところの一つって、自分を違った方法で表現できる点だわ。話すわけでも仕事をするわけでもないんだけど、ある意味で、周囲への働き掛けがあって、そして自分自身をいつもと違う形で表現してる。それって、とても健全だと思うの。 マイケル:そうだね。気付いたんだけど、リラックスする必要があるとき、僕にとっての一番のやり方が、ピアノを即興で演奏することなんだ。面白いことに、アインシュタインがそうするのが好きだったんだ。 アン:あら、本当? マイケル:彼はよくピアノを即興演奏して、リラックスしていたんだ。 アン:へえ、それは面白いわね。多分そうしながら、素晴らしい科学理論を思い付いたんでしょうね。 マイケル:間違いないね。僕もピアノの前に座って弾くたびに、「何か、気の利いたことがひらめいたらなあ」って思うんだよね。でも思い浮かんだためしがないなあ。 アン:もうすぐ、あなたの科学理論を聞かせてもらえると信じてるわ、ハハハ。さて、ではそんな調子で、今月は終わりにしましょうか。 マイケル:「そんな調子(音色)で」か。いいしゃれだね。なるほど、では終わりにしようか。来月もまたお会いしましょう。 アン:お元気で。 マイケル:さようなら。 アン:さようなら。 (訳:鈴木香織)