Volume 14 東京の電車って快適! 電車でのマナー アン:電車に乗っていて気付いたもう一つのことは─特に、初めて日本に来た時に気付いたんだけど─あなたの言うとおり、電車がすごく混むことがあるけど、それでも同時にプライバシーがある、という点がすごく面白いな、と思った。だって、例えばね、(座席に)座っていて、私は電車でよく本を読むんだけど、本を読んでいても隣の人が私の本を見ていないのよ。 だけど、アメリカで電車に乗っていて、座って本を取り出したら、必ず誰かが私の肩越しに本を読みだすか、「あら、その本はどう?」と話し掛けてくるわ。そうやって会話を始めるの。それに対して、日本ではそういうことはまずないでしょう。だからある種のプライバシーが保てて、それがいいな、と思って。 マイケル:いいことだね。だけど正直言って、イギリスで、見知らぬ人と、触れ合いを持つことができるのがちょっと懐かしいけどね。電車の中だけに限らず、一般的に言って、(イギリスの人たちは)知らない人と会話を始めるのに、もっと積極的だよ。 アン:それは絶対にそうね。 マイケル:それで、君は東京では運転しないと言ってたよね。 アン:ええ。 マイケル:でも免許は持ってるの? アン:ええ、もちろん。もう何マイルも何マイルも運転したわよ。ハハハ。 マイケル:そうか。実は、僕は3年前に初めて運転を覚えたんだ。 アン:まあ、本当に? マイケル:うん。 アン:日本で習ったの? マイケル:東京で習ったんだ。東京では必要だな、と感じてね。家族がいるから、車があるとみんなで郊外に出掛けるのに便利なんだよ。その分、ちょっと融通が利くようになって、それが好きなんだ。 アン:そうね。電車でのマナーはどうかしら? 何か気付いたことはある? マイケル:だいたいのところはみんな、電車でのマナーはかなりいいと思う。もちろん、時々、たいていは若い人だけど、ヘッドホンから音楽をちょっと騒々しく鳴らしている人はいるね。実を言うとある時、あまりにもいらいらしたから、その若者の小さなウォークマンから、実際にヘッドホンを引き抜いたんだ。 アン:あら、ハハハ。 マイケル:ハハハ、本当のところ、僕の周りはみんな、すごく喜んでくれたと思うけどね。さてと、今日は帰りの電車で、音楽を大きくかけ過ぎないように、いつも以上に気を付けようっと。それと、もし座席を必要としている人を見掛けたら、例えばお年寄りとか、何らかのけがをしている人、例えば足の骨折をしている人とか、妊婦さんとか…… アン:妊婦さんね。 マイケル:席を譲るのを忘れないように。そういう人は座席が必要だからね。 アン:そうね。そっぽを向いたりしないように。いつもそうするのを見掛けるのよ。まるで(座席の必要な人が)目に入らないかのように、別の方を見てるの。 マイケル:そうだね。 アン:ええ、そうなの。 マイケル:OK。そんなわけでマナーはちゃんと守ろう。それではまた来月に。 アン:さようなら。 マイケル:お元気で、さようなら。 (訳:鈴木香織)